政府が先月末に閣議決定した来年度の予算案 −− 。「人づくり革命」を推進する施策が柱の1つに据えられており、介護サービスを支える人材の確保に向けた賃上げ以外のメニューも含まれている。
新たに提案されているのが、介護職につきまとうイメージを刷新するための事業だ。2.3億円のリソースが計上された。業界に人が集まってこない要因は必ずしも給与の水準だけではない −− 。そうした認識が根底にある。国がこうした取り組みに予算をつけるのは今回が初めて。今月22日にも召集する通常国会を通過した後、概要を固めて実施主体を公募する方針だ。
政府は既に、勤続10年以上の介護福祉士を主な対象とする処遇改善を来年10月から実施する方針を決めている。サービスを長く担っている専門性の高い人材を優遇することで、キャリアアップの道筋を分かりやすく描く狙いだ。
イメージアップはこうした賃上げとともに進める。介護の魅力を知ってもらう体験型のイベントを開催するほか、SNSなどを通じた情報の発信も行っていく。広告代理店などノウハウを有する企業・団体と組むことを想定。効果的な広報で状況の打開につなげたい考えだ。
厚生労働省の担当者は、「やはりイメージの問題もある。実態より悪い印象を持っている方もいるので、まずは本当のことを知ってもらうことが大事」と話す。今後、社会に一定のインパクトを与えて相応の成果をあげることが課題となる。
■「総合的・計画的な施策で」
政府の来年度の予算案では、介護サービスを充実させていく元手の1つとして47都道府県に設置している基金に483億円(今年度と同額)を積み増す、との方針も示されている。このうち、マンパワー不足の解消を目的とした取り組みに充てる分は60億円。新たな「入門的研修」を展開するほか、養成校の後押しや説明会の開催、地域のマッチング機能の強化などに使われていく。
このほか、介護福祉士を目指す外国人留学生の日常生活を支える体制を作るための原資(1.3億円)も盛り込まれた。厚労省の担当者は、「総合的・計画的な施策によって人材の確保を実現していきたい」としている。