厚生労働省は3月25日、企業がテレワークを導入するうえで留意すべき点や工夫すべきポイントなどをまとめたガイドラインを公式サイトで公表した。
ガイドラインでは、テレワークとオフィスでの勤務を比べた場合、テレワークが通勤時間の短縮やこれに伴う心身の負担の軽減、仕事に集中できる環境で作業に取り組めることから、業務の効率化につながると説明。さらに、時間外労働の削減、育児や介護と仕事の両立の一助となるなど、社員が仕事と生活の調和を図ることを可能にするといったメリットがあると強調した。使用者にとっても、業務効率化による生産性の向上が図れること、育児や介護などを理由とした離職の防止や、遠隔地の優秀な人材の確保、オフィスにかかるコストの削減といったメリットがあると書き込んでいる。
円滑な導入や実施に向けては、使用者側が適切に労務管理を行い、社員が安心して働くことのできる良質なテレワークにする必要があると指摘。あらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定めておくことが重要だとした。
対象業務の選別では、管理者側の意識を変えることや作業手順の見直しを検討することが望ましいと明記。オフィスに出勤する人に負担が偏らないよう注意することも付け加えた。
対象者の選定では、正規や非正規といった雇用形態の違いで区別をしないよう要請。一方、新入社員や中途採用、異動直後の社員らに対しては、コミュニケーションが図れるよう特別に配慮すべきだとした。
実際の業務では、不必要な押印や署名の廃止、書類のペーパーレス化、決裁の電子化などが有効だという考えを提示。人事評価は、企業が手法を工夫して適切に実施するよう促した。時間外のメールに対応しなかったこと理由に不利益を被ったり、オフィスに出勤している人を高く評価したりすることが無いように釘を刺している。
また、テレワークの実施で労働者側に過度の費用負担が生じないようにすることも注意。費用の取り扱いは事前に労使で話し合い、就業規則に定めておくことを勧めた。導入初期や扱う機材のリニューアルを行った場合は必要な研修を実施。労働時間を把握する方法では、パソコンの使用時間やサテライトオフィスへの入退場の時間などの活用を一例として挙げた。
社員間のコミュニケーションがとりづらくなり、上司が部下の心身の変調に気付きにくくなりやすいことから、専用チェックリストの活用や健康相談体制の整備などを講じるよう求めた。
そのほか、テレワークで社員が負傷した場合は、労災の対象になることを確認。使用者には、情報通信機器の使用状況などの客観的な記録や労働者から申告された時間の記録を適切に保存するよう指示した。社員には発生状況などを医療機関らが正確に把握できるよう、可能な限り記録しておくことを周知するよう訴えた。ハラスメントの防止策も通常と同様に事業主が講じることが義務付けられていると説明。情報セキュリティを理由に、全業務を一律にテレワークの対象外とするのではなく、解決方法の検討を行ったり、業務毎に個別に判断したりするのが望ましいとしている。