民間企業が医療機関を介さずに行う遺伝子検査について、7割強の医師が「健康の維持や増進には効果がない」と考えていることが17日、国内の医師約10万人以上が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」の調査でわかった。
医療機関を介さない遺伝子検査は、民間企業が一般の人らを対象に遺伝子の解析をすることで、健康チェックの手段の1つとして販売され始めている。サプリメントや運動プログラムなどと連動させて提供するサービスも登場しており、市場は拡大傾向にあるという。
調査は、インターネットを通じて8月31日から9月6日にかけて実施。サイトに登録している4018人の会員医師から有効な回答を得た。
「民間企業の遺伝子検査を知っているか。また、こうしたサービスは健康の維持や増進に効果的か」と尋ねたところ、「知らないが、効果はない」と回答した人は全体の約半数にあたる1883人。また、「知っているが、効果はない」と回答した人は25.3%にあたる1018人だった。このため、検査に「効果がない」と思っていると思っている医師は、合わせて72.2%に上っている。
理由については、「検査のエビデンスが不明である」というものや、専門的な知識のない一般の人に向け、「検査結果を説明して生活などに反映させるシステムがなければ意味を成さない、もしくは混乱をきたす」という意見が多かった。具体的には、「結果をどう解釈して、どう治療に活化していくかが確立されないと、効果はないと思う」(40代、呼吸器外科)や「遺伝子検査は、するだけでなく結果が出た後の説明、フォローがとても重要。それがなければ弊害の方が多く出る可能性すらある」(40代、小児科)、「利用する側が十分に勉強するか、良心的なサービス提供者がきちんとした疫学調査のもとに行わなければ、単なるお金儲けの道具になってしまうと思う」(30代、放射線腫瘍科)といったコメントが寄せられている。
現在の日本には、民間による遺伝子サービスへの規制がまだない。日本医師会は、こうした検査の多くが、医療現場で活用されているものの水準と比べて、発展途上にあると指摘。検査結果へのフォロー体制が十分でない場合などは、利用者に誤解を与えかねないとして警鐘を鳴らしている。