処遇改善加算がどのように使われているのかあまりよく分からない −− 。そうした人が少なからずいる実態が改めて報告されている。
介護職員でつくる労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン」は1月24日、業界の賃金の動向を探った調査の結果を公表した。
月給で働いている人に対し、処遇改善加算が自分の収入に反映されている実感があるかどうか尋ねたところ、40.6%が「ない」、22.4%が「分からない」と回答。実際にどう反映されているか聞くと、22.0%が「分からない」と答えていた。支給方法の説明を受けているか否かでは、「いいえ」が12.3%、「分からない」が24.0%、あわせて36.3%。事業所がどの区分(加算I~V)を算定しているか、という質問では38.0%が「わからない」を選んでいた。
この調査は日本介護クラフトユニオンの組合員7766人が対象。月給制の2393人、時給制の1345人、あわせて3738人(48.1%)が回答した。
処遇改善加算を取っている事業所は、賃上げの方法などについて計画書を用いて職員に周知しなければいけない。職員から関連する照会があった場合は、書面などを使って分かりやすく説明することとされている。このルールはまだまだ十分に機能していない−− 。組合員ですら「分からない」が多い現状から、日本介護クラフトユニオンはそう指摘している。村上久美子政策部門長は、「事業者に問題があるケースと介護職員があまり関心を持っていないケースがある。より多くの人がもっと敏感になり、自分たちで解決しようとすることで改善されるケースもあるのではないか」と話している。
■ 平均年収、26.5万円増
調査では組合員の賃金も把握している。昨年8月の月給の平均は23万6232円。処遇改善加算が拡充される前の3月と比べ、4790円上がっていた。2016年の年収の平均は335.1万円。308.6万円だった2015年より26.5万円高くなっていた。ただし、全産業の平均(2015年賃金センサス:月30.4万円)との開きは依然として大きい。人手不足も深刻さを増しており、今後さらなる改善が求められそうだ。
今の賃金に満足しているか? そう尋ねたところ、「少し不満」「大いに不満」と答えた人が75.4%にのぼった。ケアマネジャーも69.7%が不満を持っている。その理由では、「社会の平均より低い」「業務量に見合っていない」「生活のために十分でない」などが目立っていた。