国土交通省は9日、公共交通事業者による接遇の更なる充実を図るため、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」を取りまとめた。ガイドラインでは、新型コロナウイルス感染症を踏まえた接遇の考え方、感染症対策課で生じている新たな課題(当事者の具体的な困りごと等)、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた上での接遇のポイントを示している。
平成29年2月に決定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を受け、交通モードごとの特性や様々な障害の特性等に対応した接遇ガイドライン」を30年5月に作成・公表し、また、令和元年6月に決定した「認知症施策推進大綱」を受けて、認知症の人対応のための「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」の別冊(認知症編)を3年2月に作成・公表した。
一方、新型コロナウイルスの感染が懸念される中、公共交通事業者では、既に各々の感染防止対策を踏まえた接遇がなされているが、今般のオリパラ開催を踏まえ、改めて、障害当事者や交通事業者からのヒアリング等を通じて、障害者等の困りごとを整理し、それに対する感染対策を踏まえた適切な接遇方法をガイドラインとしてとりまとめ、交通事業者に周知・徹底を図る必要がある。
今回とりまとめたガイドラインでは、新型コロナウイルス感染症を踏まえた接遇の考え方について、新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの人が利用する公共交通機関における高齢者・障害者等への接遇場面では、感染症対策を踏まえた「新たな対応のあり方」が求められていることを指摘。
具体的には、現在、旅客等に対して、マスクの着用、会話を控える等の感染対策への協力を仰いでおり、コミュニケーションがとりにくい状況である。このため、高齢者・障害者等に対する接遇では、まず職員が積極的に、①当事者が求めている支援内容を確認するとともに、②当事者への支援内容を適確に伝えることが必要とした。また、高齢者・障害者等が安心して支援を受けられるよう、感染症対策に即したコミュニケーションや支援を簡潔に行う等の接遇上の配慮を行うことが重要とした。
感染症対策下で生じている新たな課題としては、①声かけやみまもり等の支援を受けにくい、②これまでのコミュニケーションや接遇が受けにくい、③感染症対策設備が利用しにくい、④感染症対策がしづらい、理解しにくい、⑤新たな工夫が求められている、をあげている。
また、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた上での接遇のポイントとしては、①変わらず「まず声かけ、そして必要な支援」を行うことが重要、②コミュニケーションツールを準備する(口元が見えるマスク、フェイスシールドなどの活用、マイクや筆談具、コミュニケーションボードの活用等)、③感染症対策設備の設置方法や変更事項等の伝え方に配慮する、④感染症対策についての情報提供を行う、⑤感染症対策下における新たな工夫(チケットのオンライン購入等、ICTの更なる活用等)、を掲げている。