特別養護老人ホームの経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会(全国老施協)が今週、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを「5類」へ変更する政府の方針を踏まえ、厚生労働省へ意見書を提出した。
全国老施協は意見書で、「一般の感染対策と、ハイリスク者を守るための介護現場の感染対策に、大きな違いが出てくると考えられる」と指摘した。
マスク着用については、「一般社会と介護現場の意識に著しい格差が生じる恐れがある」と懸念を表明。「これまで以上に強力な啓発が必要。ルールの違いで感染拡大やトラブルにつながらないよう、行政や地域からも介護現場での感染対策の理解促進にご協力を」と求めた。
政府は早ければ来月前半にも、医療・介護の現場などを除いてマスク着用を個々人の判断に委ねていく方針。ルールの弾力化でクラスターなどのリスクが高まる懸念もあり、全国老施協はそうした事態に警鐘を鳴らした形だ。
意見書ではこのほか、感染した介護施設などの入所者が速やかに入院できる体制の整備も要請。あわせて、新型コロナを「5類」へ変えた後も、介護事業の安定的な経営を守る既存の各種支援策などを継続すべきと訴えた。