国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、部素材産業や加工・製造産業の競争力強化を目指し、航空機の先進的な構造材料や加工技術の開発について、新たに(1)次世代複合材及び軽金属構造部材創製・加工技術開発(第二期)に(株)ジャムコ、一般財団法人素形材センター、三菱重工業(株)、川崎重工業(株)、富士重工業(株)、(2)航空機用複合材料の複雑形状積層技術開発(第二期)に川崎重工業(株)、(3)航空機用難削材高速切削加工技術開発(第二期)に東京大学―の3テーマ、7企業・大学を採択した。
2020年までに航空機産業の売上高2兆円達成目指す
具体的には、複合材の高生産性・低コスト生産技術開発、マグネシウム合金の航空機構造材料への適用技術の開発、航空機用複合材料の自動積層装置、予測技術をベースとしたスマートな航空機用難削材の高速切削加工技術などで、NEDOは、2020年までに国内航空機産業の売上高を2兆円に、2030年には3兆円の達成を目指す。
航空機の燃費改善、環境適合性向上、整備性向上、安全性向上といった航空会社からの要請に応えるため、航空機に必要な信頼性・コストといった課題を解決するための技術の開発を通じて、日本の部素材産業や加工・製造産業の国際競争力強化を図る。
NEDOのプロジェクトは、経済産業省の「次世代構造部材創製・加工技術開発」を引継ぎ、2015年度からスタート。これまでに複合材構造部材の高生産性・低コスト生産技術、マグネシウム合金部材の開発をはじめ、複雑形状部材の製造を自動積層装置で行うための技術開発、航空機用難削材料の環境対応型加工技術の開発、航空機エンジンの高温度環境下で使用可能なセラミック基複合材料の開発に取り組んできた。
今後、2019年度までに開発を目指す複合材構造部材の技術開発は、アルミニウム合金構造と同等の高生産性・低コスト生産技術の研究開発、複合材構造に由来する内部剥離の検査技術の確立及び複合材本来の特性を生かした軽量化を図る。
軽金属構造部材については、マグネシウム合金の開発、加工法の開発と信頼性の向上・検討を実施し、マグネシウム合金の航空機構造材料への適用技術開発に取り組む。
また、国内外の研究開発動向や政策支援の状況、ボーイングやエアバスなどのOEM、航空会社の動向などを調査・分析し、研究開発の方向性や目標レベルを常に確認し、研究開発を効率的・効果的に推進していくための調査を実施する。
さらに、手貼りの航空機用複雑形状構造部材の作製作業の自動化に向け、要素技術の深化・成熟化を通して技術課題を解決し、安価で汎用性・量産性を持った装置を開発する。
航空機用難削材の高速切削、ロボット切削などの加工プロセスの予測には多大な時間とコストが必要となる。このため、各プロセスの最適化や高性能な工具の開発を目指し、シミュレーション技術やコンパクトで高度な解析技術を開発。
予測技術をベースとしたスマートな航空機用難削材高速切削加工技術の高度化を図り、革新的な切削加工技術開発を達成する。