2021年5月19日 優れた自然の保護と利用を両立 国立公園と国有林の世界標準目指した連携

農林水産省と環境省は、国立公園と国有林における世界水準を目指した連携を推進するため、今後、国立公園と国有林が重なる地域において、優れた自然の保護と利用の両立を目指すことをこのほど発表した。国立公園と国有林が重なる地域のうち、知床、日光、屋久島など世界遺産クラスの大自然又は誘客ポテンシャルのある地域を主体に、農水省と環境省が組織的に連携して、大自然等の保全・利用・管理を実施する。

野上農林水産大臣と小泉環境大臣は、令和2年10月23日に「コロナ後の経済社会の再設計(Redesign)に向けた「農林水産省×環境省」の連携強化に関する合意(以下「連携強化合意」)を行い、その中で、「国立公園と国有林が重なる地域における優れた自然の保護と利用について、これまでの連携を基礎にして、重点事業や地域を特定し取組を推進する」こととした。

この連携強化合意の内容を具体化するため、今般、「国立公園と国有林における世界水準を目指した連携の推進について」として、方針を取りまとめた。

重点事業としては、保全(世界中を惹きつける、傑出した大自然を厳格に保護)、利用(国立公園に入ったと実感でき、国有林の大自然が感動を与える体験機会を提供)、管理(管理者の顔の見える充実した管理の実現)をあげている。

保全では、野生鳥獣被害対策、外来種対策、希少種保護増殖対策、景観保全対策、希少種の保全、エコロジカルネットワークをあげている。野生鳥獣被害対策、外来種対策、希少種保護増殖対策、景観保全対策では、国立公園と国有林における連携優良事例をとりまとめ、全国に展開することや、シカ等の各種生息・観測情報の現場間での共有や、環境省各種事業と国有林野事業における実施予定の共有・調整により連携の強化を図ることを掲げた。希少種の保全では、国内希少野生動植物種の保護増殖事業を共同実施するとともに、必要に応じて生息地等保護区の指定に向けた検討を行う。エコロジカルネットワークでは、生物多様性保全に関するポスト2020生物多様性枠組の2030行動ターゲットの達成に向け、保護地域(国立公園、保護林、緑の回廊等)と生物多様性の保全に貢献しているその他の地域等(OECM)との連結性の確保に向けた検討を行う。

利用では、①利用者数調整や入域料等の利用者負担、②利用ルール・マナーの周知、指導、③利用者への情報提供、④利用環境の整備、⑤登山道の整備・維持管理、⑤利用拠点の再生、⑥自然体験プログラムに関する情報の収集整理・発信、⑦周遊プログラム策定・広報等の共同プロモーション、⑧カーボンニュートラル実現に向けた取組をあげている。また、①③④⑤の事業を実施するに当たり必要な場合には土地管理権限の調整を行い、速やかに必要な措置を行う。特に集団施設地区等の利用拠点、利用施設及びその周辺において、事業計画に応じて適当な場合には、所管換を行うことを含めて検討する。

管理では、巡視情報、取締り・指導情報の共有化、自然災害や利用者の事故発生時における情報の共有化・対応連携、共同研修の実施、人事交流、入林・入山する際に必要な手続きの簡素化をあげている。


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