中小企業庁では、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」に合わせ、受注企業が、発注企業にどの程度価格交渉・価格転嫁できたかを把握するための調査を実施している。2024年9月時点の調査の結果、発注側企業からの申し入れがあり、価格交渉が行われた割合は、前回から約2ポイント増の28.3%で、価格交渉できる雰囲気がさらに醸成されつつあることがわかった。
「価格転嫁」とは、モノやサービスを製造・提供する際にコストが膨らんだとき、その上昇分を価格に反映すること。そして、その「価格転嫁」に先立って行われるのが、発注者・受注者間で行われる「価格交渉」であり、この2つはクルマの両輪といえる。
調査の結果、価格転嫁率は49.7%で、コストの増額分を全額価格転嫁できた企業の割合が増加したものの、「転嫁できた企業」と「できない企業」とで二極化が明らかとなっている。
価格交渉が行われた企業のうち、7割超が「労務費についても価格交渉が実施された」と回答した。
価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業のうち、発注企業から価格転嫁について、「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割であった。
サプライチェーンの段階と価格転嫁の関係については、受注企業の取引階層が深くなるにつれて、価格転嫁の割合が低くなる傾向がみられた。
賃上げ率については、価格転嫁ができている割合が高いほど、受注企業の賃上げ率も高い傾向がみられた。
今後は、来年2月上旬目途に発注企業ごとの価格交渉・価格転嫁の評価を記載したリストを公表し、その後、評価が芳しくない企業に対する、所管大臣名による指導・助言を行う予定。