サイバーダインは9月26日、体を動かしたり話したりすることが難しい人の能動的なコミュニケーションを支援する「Cyin 福祉用」の一般向けの販売を開始した。人が動作する際に脳から筋肉へ送られる信号を読み取り、ナースコールなどの機器の操作や意思の伝達を可能にする高性能デバイスだ。価格は税抜きで60万円。
神経・筋難病などの患者の意思伝達には現在、透明な文字盤や各種スイッチ、視線入力装置などが使われている。ただ、介助者の負担の大きさや病状が進行した場合の対応、伝達の精度など課題は少なくない。サイバーダインはロボットスーツ「HAL」などで培った技術を応用。独自のセンサーやアルゴリズムを開発し、これまで検証を重ねてきていた。
「Cyin 福祉用」は、何らかのアクションを起こそうとする際に出る脳からの信号をセンサーで読み取り、それを機器操作や意思伝達の入力信号として活かす。病状が進んで体を全く動かせない人、まばたきや呼気などの筋活動による機器操作が困難な人であっても、微弱な信号さえ検出できれば使える。「はい・いいえ」などの意思表示、パソコンを出力装置とした文章の作成、環境制御機器の操作などが可能となる。
※ 信号の検出状況には個人差があり必ずしも全ての人が使えるわけではない、とされている。
信号は利用者の状態に応じて体の様々な部分から検出できる。既に使っているセンサーなどの入力装置と組み合わせて使える点も魅力だ。サイバーダインは、「例えば、音声読み上げ型の出力装置と組み合わせることにより、目を閉じたままでの意思伝達も可能になる」と説明している。