国土交通省が令和4年都道府県地価調査をまとめた。それによると、昨年7月1日以降1年間の地価の変動率は、全国平均で全用途平均は0.3%と3年ぶりに上昇に転じた。さらに、住宅地は0.1%と31年ぶりに上昇。商業地は0.5%と3年ぶりに上昇するなど、経済活動の正常化が進む中で、新型コロナウイルス感染症の影響等により弱含んでいた住宅・店舗等の需要に回復傾向がみられる。
今年の都道府県地価調査の特徴をみると、住宅地においては、都市中心部や生活利便性に優れた地域で、住宅需要が堅調だった。加えて、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、地価上昇が継続。また、生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化により、郊外部にも上昇範囲が拡大している。
地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)の上昇率は拡大。四市の中心部の地価上昇や供給不足により需要が波及した周辺の市町では、高い上昇率をみせている。
商業地においては、個人消費の持ち直しの動きから店舗需要が回復傾向にあった。堅調なマンション用地需要やオフィス需要等から、全国平均で上昇へ転じてもいる。
三大都市圏や地方四市等の再開発事業等が進展している地域では、利便性・繁華性向上への期待感から地価上昇が継続している。
国内来訪客が戻りつつある観光地や、人流が回復しつつある繁華街では、上昇に転じた地点等が見受けられる。
東京・大阪・名古屋の三大都市圏の地価の動向をみると、全体では、全用途平均で1.4%、住宅地で1.0%、商業地で1.9%となった。
圏域別では、全用途平均は東京圏が1.5%、大阪圏が0.7%、名古屋圏が1.8%となっている。
住宅地は、東京圏が1.2%、大阪圏が0.4%、名古屋圏が1.6%となり、東京圏、名古屋圏では2年連続上昇するとともに、上昇率が拡大、大阪圏では3年振りに下落から上昇に転じた。
商業地は、東京圏が2.0%、大阪圏が1.5%、名古屋圏が2.3%となった。東京圏、名古屋圏では上昇が継続し、上昇率が拡大、大阪圏では2年ぶりに下落から上昇に転じた。
地方圏では、全用途平均は▲0.2%、住宅地は▲0.2%、商業地は▲0.1%であった。全用途平均・住宅地は下落が継続しているが下落率は縮小、商業地は3年連続で下落しているが下落率は縮小した。
地方四市では、全用途平均で6.7%、住宅地で6.6%、商業地で6.9%となり、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇が継続している。
その他の地域では、全用途平均で▲0.4%、住宅地で▲0.5%、商業地で▲0.5%となり、いずれも下落が継続しているが下落率は縮小している。
都道府県別の地価変動率について、住宅地では、変動率プラスの都道府県が7都府県から14都道府県に増加。商業地では、変動率プラスの都道府県が6県から18都道府県に増加した。