国土交通省が18日に発表した令和2年地価公示によると、昨年1月1日以降の1年間の地価変動率について、全国平均では、全用途平均で1.4%、住宅地では0.8%、商業地では3.1%となり、全用途平均で5年連続、住宅地では8年連続、商業地では5年連続で上昇するとともに、いずれも上昇基調を強めている。また、地価変動率の推移については、平成26年地価公示以降、三大都市圏を中心に緩やかな上昇傾向にあり、地方圏でも回復傾向が広がっている。
地価上昇の背景として、住宅地については、雇用・所得環境の改善が続く中、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調となっている。
一方、商業地については、景気回復、良好な資金調達環境の下、①人材確保等を目的として、オフィスビル需要が堅調であり、空室率の低下・賃料の上昇傾向が継続、②外国人観光客をはじめとする国内外の訪問客の増加により収益性の向上が見込まれる地域における店舗、ホテル等の進出、③交通インフラの整備や再開発の進展に伴う利便性や繁華性(賑わい)の向上等を背景に需要が堅調となっている。また、地方都市を含め、マンション需要とも競合していることが地価上昇の背景としてあげられる。
東京・大阪・名古屋の三大都市圏の地価動向についてみると、全用途平均で2.1%、住宅地では1.1%、商業地では5.4%となり、いずれも上昇が継続している。
圏域別にみると、東京圏では、全用途平均で2.3%、住宅地では1.4%、商業地では5.2%となり、上昇が継続するとともに、上昇幅は住宅地で5年連続、商業地では6年連続で拡大している。また、東京23区では、それぞれ6.3%、4.6%、8.5%となり、上昇が続いている。
大阪圏では、全用途平均で1.8%、住宅地では0.4%、商業地では6.9%となり、いずれも上昇が継続し、上昇幅が住宅地で2年連続、商業地では6年連続で拡大している。また、大阪市では、それぞれ6.0%、1.2%、13.3%となり、上昇が継続している。
名古屋圏では、全用途平均で1.9%、住宅地では1.1%、商業地では4.1%となり、いずれも上昇が継続しているが、上昇幅は住宅地、商業地ともに縮小している。また、名古屋市では、それぞれ4.1%、2.0%、7.7%となり、上昇が続いている。
地方圏についてみると、全用途平均で0.8%、住宅地では0.5%、商業地では1.5%となり、住宅地は2年連続、商業地は3年連続で上昇するとともに、上昇基調を強めている。
このうち、地方四市(札幌市、仙台市、広島市と福岡市)では、全用途平均で7.4%、住宅地では5.9%、商業地では11.3%となり、上昇基調をさらに強めている。
また、地方四市を除くその他の地域でも、全用途平均で0.1%、商業地では0.3%と平成4年以来28年ぶりに上昇するとともに、住宅地では0.0%と8年から続いた下落から横ばいとなった。