日本政策金融公庫農林水産事業は、「令和元年7月消費者動向調査」を行った。その結果、現在の食の指向については、「経済性志向」、「簡便化志向」が続伸し、上昇傾向にあった「健康志向」が低下に転じるなどの動きをみせつつも、引き続き「健康志向」を筆頭に、「経済性志向」、「簡便化志向」が3大志向となった。
また、輸入食品の「安全性に問題がある」というイメージは8半期連続で低下し、安全面のマイナスイメージは緩和傾向にある。国産食品の「安全性に問題がある」との回答は数パーセントで、依然として良好な水準を維持している。
輸入食品への国産食品の価格許容度調査では、割高でも国産品を選ぶ割合が過半を維持しつつも緩やかに低下し、「国産品へのこだわりはない」割合が緩やかな増加傾向にあることが分かった。
この調査は、全国の20歳代から70歳代の男女各1000人の計2000人を対象に、インターネットによるアンケートで実施された。
〔食の指向、高齢世代は健康面、若者世代は経済性を重視〕
調査結果によると、現在の食の指向は2半期連続で伸長していた「健康志向」(43.8%)が低下に転じ、「経済性志向」(38.1%)、「簡便化志向」(33.4%)が続伸していた。
また、「国産志向」(14.3%)は4半期連続で低下している。
年代別にみると、「健康志向」、「安全志向」、「国産志向」は年代が高くなるほど多くなる傾向にある。一方、「経済性志向」と「簡便化志向」、「美食志向」は年代が低くなるほど多くなる傾向がみられた。
〔外食時に国産食品であることを「気にかける」割合は低下傾向〕
「食料品を購入するときに国産品かどうかを気にかけるか」について聞いた結果、「気にかける」との回答割合は73.2%となり、直近3半期は横ばいで推移している。
また、「外食する時に国産品かどうかを気にかけるか」についての質問では、「気にかける」との回答割合が30.0%となった。平成28年7月の同調査開始以降、「国産品であるかを気にかける」割合は緩やかな低下傾向にある。
〔食の安全 輸入食品のマイナスイメージは薄れる傾向〕
国産食品と輸入食品へのイメージを調査した結果、国産食品の「価格が高い」(64.5%)は、前回調査と同水準ながらも平成20年の調査開始以降で最も低い値となった。国産食品の「価格が高い」というイメージが、以前に比べて薄れてきていることが伺える。また、国産食品の「安全性に問題がある」(2.7%)イメージは僅少であり、依然として良好な水準を維持している。
一方、輸入食品のイメージは、「安全面に問題がある」(35.3%)というマイナスイメージが8半期連続で低下している。調査開始以降最も低い値であり、輸入食品の安全性のマイナスイメージは緩和傾向にある。
〔国産品にこだわらない割合、ゆるやかに上昇〕
輸入食品と比べ、どのくらいの価格差なら国産食品を選ぶか、いわゆる価格許容度を調査したところ、割高でも国産品を選ぶ割合は57.9%と過半を維持しているものの、緩やかな低下傾向にある。一方、「国産品へのこだわりはない」は16.0%と前者に比べ少ないものの、その割合は緩やかな上昇傾向にある。