介護職で組織する労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」は19日、賃金の動向などを把握する「就業意識実態調査」の最新の結果を公表した。
それによると、月給で勤める介護職員の昨年の平均年収(※)は359万8000円だった。NCCUの村上久美子副会長は、「依然として安心・安定して働き続けられる賃金水準に達していない」と指摘している。 (※ ここでいう平均年収)
基本給+各種手当+ボーナスなど。税金や保険料が引かれる前の額面で手取りではない。各種手当には、残業代や夜勤手当など月ごとに変動するものも含まれる。ただし、課税対象外の通勤手当は含まれない。
調査は今年7月から8月にかけて行われたもの。全国4420人の組合員が対象で、3171人(回収率71.7%)から有効な回答を得た。このうち月給制は2151人、時給制は1020人となっている。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、全産業の昨年の平均年収は463万4900円。今回の介護職員との格差は103万6900円にのぼる。ただ、NCCUが調査を始めた2009年(166万3500円)からみると格差は徐々に縮小してきている。
NCCUの染川朗会長は、「より一層の格差是正が必要だ。そのためには来年度の改定で介護報酬を引き上げるほかない」と主張。「現状を国民に理解してもらい、負担側も含めて幅広いコンセンサスの形成を図るべきだ」と訴えた。
調査ではこのほか、月給で勤める職員の約6割が今の賃金に不満を持っていることも分かった。「大いに不満」が17.3%、「少し不満」が42.3%。その理由(複数回答)では、「社会的な平均賃金より低いと思う(45.4%)」や「今の業務量に見合っていない(34.9%)」などが目立っている。
また、ボーナス(昨年冬の平均:18万4146円)の金額にも66.9%の職員が不満を抱いていた。