新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言下などにサービスを提供した介護職員や事業所へ、独自の給付金を支給する動きが全国で広がっている。
■ 1人あたり最低2.5万円
例えば東京都の品川区では、区内のほぼ全ての介護・障害福祉サービスの職員へ、慰労金を支給する「介護・障害福祉サービス業務継続支援金交付事業」を行っている。4月から5月にかけてサービスを提供した事業所に対し、常勤職員1人あたり4万円を支払う仕組みだ。直接サービスに携わった人には、最低で2万5000円を給付。残りの1万5000円分は、非常勤職員や事務職員などへ自由に分配するよう要請した。確実に職員の手に渡るよう、「誰に何円を支給したのか」報告することも義務付け。予算額は介護分が1億4600万円、障害福祉分が3200万円の総額1億7800万円を計上した。
■ 大阪や福岡でも
さらに大阪府の豊中市も、市内の介護施設や事業所で働く職員向けに給付金を支給している。緊急事態宣言が発令された4月7日以降に、サービスを提供しつづけていることなどが条件だ。具体的には、60床未満の施設に10万円が、60床以上には20万円が支払われる。事業所の場合は、常勤職員の人数に応じて、11段階に支給金額を設定。70人以上の施設の77万円が最も多く、50人から69人の56万円、30人から49人の35万円が続く。最低額は1人の1万円だ。使途は職員への支給のみで、マスクの購入費など対策経費には使えず、従業員への支給金額がわかる書類の提出も求める。
一方、福岡県の北九州市は、施設や事業所へ給付金を支払う制度を実施。職員の手当て以外に職場環境の改善・充実に係る経費に充てることも認めるスキームだ。訪問、通所、施設のほか、有料老人ホームなども対象に含めた。支給金額は、それぞれ利用者の人数ごとに定めている。介護分野の最高額は、120人以上が利用する施設の200万円。訪問では400人以上、通所では200人以上が利用する事業所の70万円がトップだ。居宅介護支援事業所では、320人以上の利用で最高40万円まで給付が受けられる。
これらの施策は、政府が今年度の2次補正予算に盛り込んだ、職員1人あたりで最大20万円の慰労金とは異なるもの。今回紹介したのは一部の事業のみだ。対象の範囲や給付金の額、申請方法などはそれぞれ異なるため、詳細は各自治体のサイトや担当の部署に問い合わせて確認してほしい。
■ 職員は地元で確認を
また、このほかに確認できた所だけでも、東京都の荒川区、千葉県の佐倉市や松戸市、福岡県の福岡市などが給付金事業を展開している。緊急事態宣言中などに働いた介護職員で、こうした給付金を受け取っていない人は、地元に同様の制度が無いかを確認したほうがいいかもしれない。もしあれば、申請できるよう試みてみるのが得策ではないだろうか。