2024年2月2日 介護報酬改定、鮮明になった大規模優遇 過去最大の激変で求められる経営努力【小濱道博】

1.前回を下回る改定率と2月からの補助金

12月20日に決定した来年度の介護報酬改定率は、事業者にとって現実的には0.61%のプラスにとどまった。この数字は、前回の0.7%を下回る。近年の物価上昇を考えると、実質的にマイナス改定であると言わざるを得ない。

公表された改定率の1,57%には、介護職員の処遇改善に充てる分の0.98%が含まれている。2月から実施される月6千円相当の新たな処遇改善も、この0.98%の中に組み込まれる。「処遇改善支援補助金」として5月まで実施され、6月からは一本化される新たな「処遇改善加算」に統合される。

問題は事務負担である。一本化される「処遇改善加算」の算定準備を含めると、事務負担が同時期に集中することとなる。このことを嫌って、あえて支援補助金は受給せず、6月の「処遇改善加算」からの算定を選択する事業所も出てくるのではないか。

また、介護職員の6千円の賃上げは2%程度に相当するとされている。この数字は、日経新聞の「賃金動向調査」による賃上げ率(3.89%)に遠く及ばない。いずれにしても、介護事業者は自社努力による経営改善を強く求められる結果となった。

 

2.生産性向上が重くのしかかる

来年度の報酬改定では、介護施設などに生産性向上委員会の定期開催が3年間の経過措置付きで義務化される。「処遇改善加算」の算定要件である「職場環境等要件」も、生産性向上の取り組みを現場サイドに強く求める内容へ見直される。

例えば、業務改善の体制構築、職場課題の見える化、いわゆる「5S活動」、情報共有、介護記録ソフトの活用、介護ロボットの導入、介護助手の配置といった取り組みが求められる。

ある経営者は、会議開催の義務化自体が業務負担だと言ったが、現場では負担が増した感が強い。

たしかに、ICT化に取り組めば業務改善が進む可能性は高い。しかし、補助金を用いたとしても費用負担は重くのしかかる。その補助金の支給対象も、ハードからソフトに重点化しつつあって、機材の購入費用に活用しにくくなっている。


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