東京商工リサーチが7日に公表したレポートでは、今年1月から9月までの介護サービス事業者の倒産が77件にのぼったと報告されている。介護保険制度がスタートしてから最も多かった昨年(76件)を、すでに1件上回っているという。介護報酬の大幅な引き下げや慢性的な人手不足、競争の激化などが背景とみられる。
規模が小さく経験の浅い事業者の倒産が目立つ。内訳をみると、従業員が5人未満のところが68.8%となっている。約7割が負債5000万円未満。46.7%は設立から5年以内だった。業種別では、「通所・短期入所」と「訪問介護」がそれぞれ32件。この2つで全体の83.1%を占めている。
66.2%は「販売不振」が原因だった。倒産の形態は、事業消滅型の破産が9割超。再建型の民事再生法は一件も無い。東京商工リサーチは、「同業他社との競争の激しさを物語っている」「不振に陥った事業者の再建が難しいことを浮き彫りにした」などと指摘している。
今年はひと月あたりの倒産件数の平均が8.5件。このまま推移すれば、年間100件を初めて超えることになる。東京商工リサーチは、「安易な起業だけでなく、本業不振のため異業種からの参入失敗や過小資本でのFC加盟など、事前準備や事業計画が甘い小・零細規模の事業者が想定通りに業績を上げられず行き詰まったケースが多い」と分析。昨年度の改定の影響については、「加算の条件を満たすことが難しいだけに、経営基盤が脆く、経営体力に乏しい小規模事業者への影響は小さくない。体制が未整備の業者がふるいにかけられる一方、新規参入の障壁は高まっている」との見方を示した。