今年上半期の介護事業者の倒産は58件で過去最多を記録した。東京商工リサーチの新たなレポートで7日に明らかになった。
人手不足の一層の悪化と競争の激化が最大の要因。新型コロナウイルスの流行を主因とするものは1件だけだった。政府や自治体の支援策が一定の効果を発揮したとみられる。
ただ、裁判所が一部の手続きをやむを得ず縮小していたという事情もある。高齢者の利用控えなど厳しい状況は長期化していく見通し。下半期は「コロナ倒産」が一気に増加する恐れがある。倒産まで至らずとも廃業、撤退する事業者が多くなる可能性は高い。
上半期に倒産した事業者をサービス別でみると、「訪問介護(31件)」と「通所・短期入所(18件)」で全体の84.5%を占めていた。残りは「有料老人ホーム」が4件、「その他」が5件。
負債1億円未満は46件で、79.3%が小規模な事業者だった。従業員20人未満のところが91.4%。東京商工リサーチは、「準備不足のスタートアップが倒産するケースも目立った」と報告している。
今後については、「サービス提供力が乏しい小・零細事業者は、さらに厳しい経営を強いられそうだ。コロナ禍が追い打ちをかける格好で体力を消耗したところも多い」と指摘。「今年の倒産は過去最多だった2019年(111件)を上回る懸念が強い」としている。