インターネットの利用が要介護の高齢者にも広がるなか、ニーズに応えるべくWi-Fi環境を整備する介護施設などが増えていることを踏まえ、厚生労働省は2月13日に新たな通知を発出した。
Wi-Fiなどの通信設備の利用料を利用者から徴収することの可否について、「徴収は可能」と明記。介護保険最新情報のVol.1355で関係者に広く周知した。
特養や老健といった介護施設やショートステイ、グループホーム、介護付きホーム、通所介護、通所リハなど幅広いサービスが対象となる。介護事業者はこれまでも、Wi-Fiなどの利用料の徴収を禁止されていたわけではない。厚労省は今回、ルールを明確化するために改めて解釈を示した格好だ。
きっかけの1つは事業者団体からの働きかけだった。
特養の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は今年1月、厚労省に要望書を提出。「多くの施設でWi-Fi環境などの整備費が持ち出しになっている。これがWi-Fi導入の障壁となっている」などと問題を提起し、ルールを明確化して自治体に周知するよう求めていた。
【要望書要旨】
全国老施協の調査によると、約3割の施設で入所者または家族が施設内Wi-Fiを利用でき、そのうち97.5%の施設が利用料金を無料としています。しかし、個人情報漏洩のリスクがあり、利用者や家族にWi-Fiを提供するには事業者側のセキュリティ対策が必要です。現行法では利用者からの費用負担が可能なはずですが、多くの施設が認識しておらず、費用は施設が負担しているのが現状です。このため、利用者向けWi-Fiの導入が難しくなっています。したがって、利用者向けWi-Fiの利用料について、利用者から費用を徴収できることを明確にし、周知することを検討するよう求めます。