放置艇は、景観の悪化、船舶の航行障害、洪水・高潮・津波等の自然災害時の船舶の流出による被害等をもたらすものであり、国土交通省では、水産庁と共にプレジャーボ―トの放置艇の削減に向けた取り組みを進めてきた。令和6年3月27日の「第4回プレジャーボートの放置艇対策の推進に向けた検討会」において、「三水域(港湾・河川・漁港)におけるプレジャーボートの適正な管理を推進するための今後の放置艇対策の方向性」がとりまとめられた。
今回とりまとめた方向性では、「すべての放置艇の解消の最終的な目標は堅持しつつ、地域にとって支障となる放置艇については、概ね10年程度を目途に解消できるよう優先的に対策に取組むことを目指す。」を目標として掲げた。
また、放置艇対策の実効性を高めるための3つの視点として、「各水域が所在する地域の実情を踏まえた対策の推進」、「水域管理者の管轄を越えた広域的な連携の推進」、「官民の緊密な連携の推進」をあげている。
このうち、「各水域が所在する地域の実情を踏まえた対策の推進」では、地域によって放置艇を巡る状況に差異がみられることから、ハード・ソフト両面でのきめ細やかな対策の実施、ノウハウ・知識の共有・伝承に取り組む。
また、「官民の緊密な連携の推進」では、日常的な管理に要する行政コストの地減が必要なことから、マリーナや漁業協同組合といった民間事業者の参画のための環境整備を行う。
具体的対策としては、①係留・保管能力の向上、②効果的な規制措置の実施、③水域管理者等による監督の推進、④放置艇の新規発生を防ぐ予防的措置の実施、⑤広域的な対策の推進をあげている。
このうち、係留・保管能力の向上では、既存の係留・保管施設の収容余力の活用、管理上支障のない水域の有効活用、国の支援制度の有効活用に取り組む。
効果的な規制措置の実施では、放置等禁止区域等の指定の拡充、所有者情報の把握、所有者による係留・保管場所確保に向けた指導・啓発、罰則規定の周知徹底を行う。
水域管理者等による監督の推進では、行政代執行・簡易代執行の適切な実施、廃棄物としての撤去処分の推進、沈船を未然に防ぐための迅速な対応、FRP船リサイクルシステムの利用促進、国の支援制度の有効活用(沈廃船処理)を行う。
放置艇の新規発生を防ぐ予防的措置の実施では、関係機関が連携した普及活動の充実、日常的な放置艇対策への関係者の協力、海洋教育等を通じた対策の周知に取り組む。
広域的な対応の推進では、水域を越えた対応、都道府県の枠を超えた対応を実施する。
国交省では引き続き、水域管理者を中心とする関係者と緊密に連携し、1日も早い放置艇の解消に取り組んでいく。