高齢化で介護ニーズが更に拡大していく今後、全国でどれくらいのケアマネジャーが必要となるのか − 。
厚生労働省が日本総研とともに昨年度に実施したシミュレーションの結果が公表された。
結果は下表の通り。ケアマネ1人あたりの担当件数などが今と変わらないことを前提に2022年度と比べると、2025年度までに約2万7千人、2040年度までに約8万3千人の上積みが必要となる。
ケアマネの人数は、現任者の高齢化もあって足元で微減傾向が続いている。これから人材確保や生産性向上などを実現しなければ、高齢者が必要なサービスを速やかに受けられない問題が深刻化する懸念が強いことが、改めて浮き彫りになった格好だ。
このシミュレーションは、今後の要介護者数やサービス量の見込みなどをもとに実施されたもの。日本総研が公表した報告書には、自治体、事業所・施設へのアンケート調査や複数の前提を置いたシミュレーションの結果が盛り込まれたほか、ケアマネの需要・供給をめぐる課題を多角的に検討した成果がまとめられている。
報告書では今後求められるケアマネジメントの体制整備に向けて、新たな人材の確保や離職の防止、ケアマネ1人あたりの担当件数の引き上げなどが必要と指摘。処遇の改善、業務負担の軽減、資格試験の受験者数の増加、実務研修後の入職率の向上、より長く安心して働ける環境の整備などに向けた施策を、総合的に推進していくべきと提言している。
調査研究や報告書作成に携わった国際医療福祉大学大学院の石山麗子教授は、「国、自治体、法人・事業所がそれぞれの立場で課題意識を持ち、解決策を模索して努力しているところ。今後は相互の連携・役割分担など、構造的に捉えて検討・整理し、解決策を推進することが重要」と指摘している。