中国発祥の新型コロナウイルスによる感染症対策の陰に隠れてしまった感もあるが、令和初の「春の全国交通安全運動」が4月6日から4月15日までの10日間実施され、政府では特に4月10日を「交通事故死ゼロを目指す日」として取り組む。
今回は全国重点として「子供を始めとする歩行者の安全の確保」「高齢運転者の安全運転の励行」「自転車の安全利用の推進」が掲げられ、特に未就学児を中心とした子供が日常的に集団で移動する経路の安全確保に努める。また、児童生徒や大学生、高齢者に対する交通安全教育の推進を図る。
児童生徒らに対しては、交通混雑や視認性の低下など、夕暮れ時と夜間の危険性を踏まえ、反射材用品・明るい目立つ色の服装の着用効果などを認識させる必要がある。踏切や道路における安全な通行方法や飛び出しによる死亡・重傷事故が多いことなどを具体的に学ばせ、高齢歩行者については走行車両の直前直後横断という法令違反が多くみられることを理解させることが求められる、歩行者の交通ルール順守の徹底を図ることが重要だ。
また、保護者に対しては、運転者には歩行者保護の観点から横断歩道手前での減速義務と横断歩道における歩行者優先義務があることや運転中のスマートホンの使用の危険性、あおり運転が社会問題となっていることなどの周知が求められる。
自転車や原付、オートバイの安全な利用も呼びかける。自転車の安全な利用については、安全教室の開催などを通じて、夕暮れ時と夜間における反射材用品の着用の促進、前照灯の点灯の徹底、点検整備について指導するほか、自転車の安全な利用や正しい駐輪の仕方などの周知を図り、登下校時の安全かつ正しい走行及び交通ルールの遵守に関し、児童生徒が自主的に安全な行動ができるように指導する必要がある。特に、車道の左側通行や歩行者の優先、二人乗り・並進の禁止、傘さし、スマホ・イヤホン使用の危険性の周知徹底を図ることが求められる。
後部座席を含めた全ての座席におけるシートベルト着用義務の周知や着用の徹底を図ることも必要だ。また、自転車乗車時における幼児児童の乗車用ヘルメット着用の徹底と、中学生・高校生の自転車利用者に対する乗車用ヘルメットの着用を促進する。
高齢者については、交通事故死亡者数全体に占める割合が極めて高いこと、高齢運転者による重大交通事故の発生などの情勢を踏まえ、高齢者に対し、参加・体験・実践型の交通安全に関する学習の促進、運転免許証の自主返納者に対する支援施策の広報啓発にも務めることが重要となっている。
緊急対策を大胆に加速
昨年4月に発生した暴走した乗用車による親子の交通死亡事故や、5月に大津市で発生S田園児の交通死亡事故など、子供が犠牲となる事故、高齢運転者による事故が相次いで発生していることを踏まえ、総理指示のもと、昨年から政府では、交通安全緊急対策を進めている。この中では、〝緊急に取り組む対策〟として、子供を交通事故の被害から守るため、未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動経路の安全確保を早急に進める。次に、安全運転サポート車の普及など「高齢者の安全運転を支える対策」の〝一層の加速〟に取り組む。さらに、免許返納後の高齢者の移動の足となる公共交通の利用環境の改善、最新の自動運転技術を取り入れた新しいモビリティの活用などに〝大胆〟に取り組んでいる。
こうした観点から、国民の命に関わるこの課題に、関係省庁が一丸となって取り組み、子供や高齢者をはじめ誰もが安心安全に暮らしていくことができる、交通事故のない「令和」を一刻も早く実現し、世界をリードする興津安全社会を目指す。