大人に代わって介護や家事を担う子ども「ヤングケアラー」に関する厚生労働省と文部科学省の初の実態調査の結果が12日に公表された。それによると、「世話をしている家族がいる」と答えた割合は、中学2年生が5.7%(約17人に1人)、全日制の高校2年生4.1%(約24人に1人)だった。
調査は昨年12月から今年2月にかけて、全国の公立中学校1000校と公立の全日制高校350校を対象に実施。回収できた中学校754校に在籍する5558人の中学2年生と、全日制高校249校に在籍する7407人の高校2年生のデータを分析した。
世話の相手は、どちらも「きょうだい」が最多(中学2年生:複数回答で61.8%、高校2年生:同44.3%)。「きょうだい」の世話の内容では、どちらも「見守り」や「炊事・洗濯などの家事」、「きょうだいの世話や保育所等への送迎など」が多い傾向を示している。
世話の頻度をみると、中高生ともに世話の相手が「親」や「祖父母」の場合は、「ほぼ毎日」と答えた割合が3割強~4割程度、「きょうだい」の場合は6割弱だった。さらに、平日1日あたりで世話に費やす平均時間は、中学2年生が4時間、全日制高校2年生が3.8時間だが、「7時間以上」と答えた中高生も約1割いた。調査では、世話の時間が7時間を超えると、それ以外に比べて「健康状態が良くない」や「たまに欠席する」、「遅刻・早退をたまにする」と答えた割合が高い傾向を示していた。
世話をしているためにやりたくてもできないことを複数回答で尋ねたところ、中学2年生では「特にない」が58.0%で最も多かったほか、「自分の時間が取れない」(20.1%)や「宿題をする時間や勉強する時間が取れない」(16.0%)といった回答が目立った。また、高校2年生も、「特にない」(52.1%)が最も多く、「自分の時間が取れない」(20.1%)や、「宿題をする時間や勉強する時間が取れない」(16.0%)という順になった。
■ 厚労相「論点整理し、しっかり対応していく」
調査結果を受けて、田村憲久厚労相は13日の閣議後会見で、「厚労省と文科省でプロジェクトチームを作っている。ここで調査の結果などを踏まえて論点を整理し、しっかりと対応していきたい」と、支援策に向けた道筋を説明した。
加えて、「現在、両省でいろいろ検討している最中。そこでの議論を経て取りまとめをしていきたい」と述べている。