東京都健康長寿医療センターは22日、中等度以上の認知症患者について、退院直後の再入院リスクが高いとする研究結果をまとめた。入退院といった環境の変化は、患者への大きな負担になるため、入院中から退院直後の再入院予防策を検討することが重要だとしている。
調査は2016年から2018年にかけて実施。平均年齢79.8歳の高齢入院患者8897人を対象に行い、このうち2880人に認知症の可能性があるとされた。重症度別では、軽度認知症が850人、中等度認知症が1815人、重度認知症が215人となっている。
退院直後に再入院した患者を重症度別でみると、認知症以外の患者が100人だったのに対し、軽度認知症は19人、中等度認知症は99人、重度認知症は20人となった。性別や年齢などの要因の影響を除くと、退院直後の再入院の発生リスクは、認知症以外の患者よりも、中等度認知症が1.4倍、重度認知症は2.2倍高いことが判明した。
このため同センターは、退院直後の再入院を予防する取り組みを講じるべきだと指摘。具体的には、退院後の生活を見据えた退院計画の作成や地域ケアとの連携、退院後のフォローアップなどを組み合わせた移行期ケアプログラムを実施するよう促した。そのうえで、中等度以上の認知症患者に対しては、入院時に移行期ケアプログラムを優先的に提供する必要性が高いと結論付けている。
認知症の分類
1.認知症の可能性なし
2.軽度認知症の可能性あり(時間の見当識・近時記憶(数日の記憶)・問題解決能力・手段的日常生活動作(家事や交通機関の利用などの複雑な日常生活動作)に障害を認める状態)、
3.中等度認知症の可能性あり(時間に加えて場所の見当識障害が現れ、遠隔記憶(発病する前に学習した記憶)・判断力・基本的日常生活動作(移動や入浴など基本的な日常生活動作)に部分的な障害を認める状態)
4.『重度認知症の可能性あり』(時間・場所に加えて人物の見当識障害が現れ、遠隔記憶障害・判断力・基本的日常生活動作に全般的な障害を認める状態)