中央大学では、再来年4月に現在の理工系学部を再編し、後楽園キャンパス(東京都文京区)に「基幹理工学部」「社会理工学部」「先進理工学部」の3学部を開設(設置構想中)する。 現在さまざまな取り組みを行っており、新設3学部を紹介する特設サイト(https://sci-eng.v.chuo-u.ac.jp/reorg/)もオープン。各学部のキービジュアルも確定し、今後は動画による学部・学科紹介などを順次公開することとしている。
今年8月にはオープンキャンパスを実施し、3学部が新設予定の後楽園キャンパスには過去最多となる1万2864人が来場。また、他キャンパスを含めた来場者も4万495人とこちらも過去最高を記録した。キャンパス内では、新設予定学部の全学科の模擬授業と学科ガイダンスプログラムが実施され、どの学科にも多くの高校生らが集まった。
IoT、ビッグデータ、AIを活用した技術革新が進み、気候変動やエネルギー、食料、自然災害、生態系、少子高齢化、健康・医療等の広く複雑な社会課題が顕在化するなか、新しい価値を創造し、技術革新を起こすことのできる、より高度な能力を持った理工系人材が求められている。
中央大理工学部ではこれまで、時代の変遷や社会の変化に応じて、学科の新設や教育内容の見直しを行ってきた。さらに、近年の社会環境の急速な変化にも対応すべく、グローバルな視点に立ち、社会の課題に積極的に向き合い、自身で解決策を見出す能力を獲得しようとする姿勢を持ち続ける人材を育てるため、従来の理工学部を発展的に再編し、三つの新たな学部を開設する。
このうち基幹理工学部は、数学科、物理学科、応用化学科、生命科学科で構成。数学、自然科学(物理学・化学・生物学)、さらに工学の分野に関する理論と諸現象についての確実な知識と応用力を身につけ、新しい課題への果敢な挑戦力を持ち、人類共通の知的資産たる科学技術を継承し、自らの新発見を通じて積極的に社会貢献できる人材を養成する。
社会理工学部は、都市環境学科、ビジネスデータサイエンス学科、人間総合理工学科から構成され、科学技術に関する理論や技術に幅広く精通し、社会が抱える多様で複雑な課題に対してそれらを応用し、より良い社会の実現に資する学際的人材を育てる。
先進理工学部の構成学科は、精密機械工学科、電気電子情報通信工学科、情報工学科。各分野の基礎教育と学際領域の学修を通じて、人・モノ・自然に代表される現実空間(フィジカル空間)と仮想空間(サイバー空間)を結びつける仕組みを考案し、科学技術分野の課題解決や持続 可能で包摂的な社会の実現に貢献する人材を輩出する。
3学部のうち、基幹理工学部に設けられる「物理学科」では、自然科学・工学の全てに共通する普遍的な自然法則を捉えようとする学問である物理学を探究する。「量子力学及演習」や「物理学実験」など参加型授業が多く、4年次には卒業研究をしながら、大学院合併授業で「相対性理論」や「宇宙物理学」も学ぶことができる。基礎から応用へ繋がる分野まで着実に学ぶことで、しっかりとした物理学的素養と応用力を身につける。
社会理工学部には、「ビジネスデータサイエンス学科」などを設置。人、資金、設備、情報などの経営資源を社会および環境も考慮した全体的な視点から捉えつつ、〝データサイエンス〟をキーワードに、あらゆる組織活動の分析から戦略立案までをAIを含む情報 処理技術とデータ分析で支え、数理的・工学的手法の適用を通して組織運営の改善や最適化を図ることのできる知識、技術、実践力を身につけさせる。
精神理工学部に設けるのは「精密機械工学科」など。精密機械に関する幅広い授業で基礎知識の養成と、精密さの追求を通じてシステム全体を認識できるグローバルな視野を獲得し、特に、ロボット・AI、バイオ・医療、スマートマテリアル、サイバーフィジカルシステムなど、最先端の研究に取り組むことで、科学技術や社会課題に関して創造的な課題解決を導く、実践的な力を身につけてもらう。