2023年2月13日 世界経済の不確実性の高まり 「日本経済2022‐2023」を公表

内閣府は3日、「日本経済2022‐2023 ―物価上昇下の本格的な成長に向けて」を公表した。この中で、世界経済の不確実性の高まりと日本経済の動向について、2022年は民需中心に緩やかな持ち直しをみせ、世界的な物価上昇下、円安方向への為替変動もあり、40年振りの高い物価上昇となったことを指摘。海外由来のショックに対し、エネルギー構造の転換などを通じた交易条件改善、サービス輸出拡大が課題となっている。

また、物価上昇は輸入物価上昇を背景としており、国内需要や賃金による上昇圧力は限定的であることを指摘。価格上昇品目は増えているが、輸入物価上昇の転嫁は途上である。その上で、賃上げ原資の確保にも、企業が適切に価格転嫁を行える環境整備が重要とした。

2023年の世界経済は減速が懸念されることからも内需振興が重要と指摘。成長分野への重点的な投資喚起、生産性向上に向けた人的資本投資の促進が鍵とした。また、中長期の持続的な成長には、貿易や投資関係強化による海外需要取組が重要としている。

個人消費の力強い回復に向けた課題については、物価上昇下での実質所得の減少を背景に、低所得層では実質消費支出が減少傾向にあることを指摘。物価上昇の影響が大きい低所得層への重点的な支援が重要とした。また、超過貯蓄による一定の消費下支え効果が期待される一方、預貯金の増加による消費押上げ効果は限定的であり、消費の持続的な回復には、ベアなどによる定期収入の増加が鍵とした。

2010年以降、若年層と高齢層を中心に消費性向は低下傾向にあり、背景には期待生涯所得の伸び悩みや老後の生活不安の高まり、高齢層では予備的動機や遺産動機の高まりがある。このため、構造的な賃上げ環境の構築に加え、高齢者の就労促進や社会保障制度の持続性を高める取組が必要とした。

2022年の雇用環境は総じて改善したが、労働移動はコロナ禍前ほど活発ではなく、失業期間の長期化が懸念される。国際的には、労働移動が円滑な国の賃金上昇率が高い。自発的な転職には賃金や意欲の序章効果がみられ、人材配置の適正化を進めるためのリスキリングの強化やマッチング効率の改善等が課題となっている。

企業部門の動向と海外で稼ぐ力について、2022年は製造業のけん引により収益の回復が持続し、円安による収益増などもあり設備投資は大中堅企業中心に回復している一方、実質ベースでの投資の回復は道半ばとなっている。このため、今後は官の投資を呼び水として、成長分野での企業の予見可能性と期待成長率を高め、投資を引き出すことが重要とした。

また、リーマンショック以降の経常収支黒字要因は、貿易中心から投資中心に変化し、輸入の変動は鉱物性燃料価格の影響が大きく、エネルギー構造転換が重要となっている。直接投資は、投資先国の成長を背景に収益性が高く、残高も増加基調にある。

海外で稼ぐ力を規模別にみると、現地法人の売上や収益に加え、輸出金額も大中遠企業に偏在し、輸出の伸びしろが大きい中小企業への人材面などでの支援や、農林水産物・食品の輸出体制の整備が必要とした。


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