2023年1月19日 世界的テストと同等能力を確認 室伏スポ庁長官考案のスクリーニングテストが

東京医科歯科大学は、スポーツサイエンス機構の室伏広治特命教授(スポーツ庁長官)が考案した運動機能に関するセルフ・スクリーニングテストが、世界的に普及しているテストである「FMS」と同等の検査能力があることを明らかにした。室伏特命教授は、特別な道具を使用しない、誰でも手軽に行うことができる運動機能に関するスクリーニングテスト「KOJI AWARENESS」を考案。このテストは専門家の力を借りずに、部位ごとに問題のある個所を自ら認識できるもので、広い普及の可能性を秘めている。また、スポーツや運動の日常動作の問題に本人自らの気づきを与え、ケガ予防やパフォーマンス向上に役立つ可能性があるという。

今回の分析は、室伏特命教授をはじめ、東京医歯大の柳下和慶教授、獨協医科大の片桐洋樹講師、早稲田大スポーツ科学学術院の金岡恒治教授らの研究グループが実施。この研究成果はオープンアクセスの査読付き科学雑誌Plos Oneに掲載された。

 

筋骨格の状態把握でケガ防止

運動を実施するにあたり、自分自身の筋骨格系の状態や問題点を把握し、日頃のトレーニングに活かすことは、ケガを防止する上で重要。しかしながら、トレーナーや理学療法士の専門家に、いつでも相談できる環境が全ての人にあるわけではないことから、スポーツや運動する現場で、自分の身体を自ら確認できる方法を確立することは、安全・安心に運動を行う上で大切となる。

室伏特命教授は、現役時代に取り組んできたセルフ・コンディショニングの知見を結集し、特別な道具を使用せずに、簡易的に誰でも筋骨格系の状態をスクリーニングする方法「KOJI AWARENESS」を発案。過去の研究では、「KOJI AWARENESS」総合得点と、トレーニング中の痛みの間に負の相関関係があることが確認されている。

しかしながら、道具を使用せずに簡易的に評価する「KOJI AWARENESS」セルフ・スクリーニングテストに関して、有資格者による道具を用いたスクリーニングテストと検討した妥当性は明らかになっていなかった。

 

学校ごとの支援格差解消に可能性

今回、「KOJI AWARENESS」の総合点と道具により第三者が評価する代表的なスクリーニング方法であるfunctional movement screen(FMS)の総合点との関連を分析し、「KOJI AWARENESS」の総合点の基準関連妥当性を明らかにすることを目的に、研究分析を行った。

研究グループは、健常成人57名を対象に、「KOJI AWARENESS」セルフ・スクリーニングテストの総合点と、対象者の運動機能を評価する世界的スタンダードな方法であるFMSの総合点との関連を分析し、「KOJI AWARENESS」のスクリーニングテストとしての妥当性を検証した。

FMS評価では施行資格を有するNATAアスレティックトレーナーが測定し、KOJI AWARENESS」の測定ではトレーナーがモニタリングするなか、被験者が自らチェックし採点。「KOJI AWARENESS」は、特別な道具を必要とせずに、誰もが簡易的に運動機能をスクリーニングできる妥当な方法であることが示された。スポーツの現場で、ケガを予防する観点からも、安心安全なスポーツ実施に結びつく可能性があることが判明。子供の体力低下が懸念されているなか、〝肩の可動性〟〝下半身の筋力〟といった「KOJI AWARENESS」の11項目から運動機能の問題点を抽出し、個別に運動機能を改善・強化することは、成長期の安心・安全なスポーツ実施に重要な役割を果たす可能性もあるという。

また、子供たちのスポーツ活動で、強豪校とそうでない学校とで選手のサポート体制に格差もみられるが、「KOJI AWARENESS」の普及は、このような格差を埋める可能性にも言及している。


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