「平成30年度水循環施策」(令和元年版水循環白書)が25日に閣議決定された。今年度の白書では「世界の水問題と我が国の取組」を特集テーマに、世界の水問題を取り上げ、解決に向けた国際的な枠組みや我が国の取組について紹介している。また、水循環の重要性、水循環施策をめぐる動向、平成30年度に講じた施策について報告している。
令和元年版水循環白書は、「特集 世界の水問題と我が国の取組 ~世界の水問題解決に向けた国内外の取組~」、「第1部 水循環施策をめぐる動向」と「第2部 平成30年度 水循環に関して講じた施策」の3部で構成されている。
特集では、世界の水問題について、開発途上国を中心として増え続ける人口に対応するための水資源の問題をはじめ、安全な飲料水や衛生施設を利用できない人の存在、水に係る環境の悪化、洪水や干ばつといった災害など様々な課題が山積していることを指摘。また、世界の水問題の中には、これまで我が国が直面し、対処してきた事案に類する課題が存在しており、我が国は国際社会の一員として諸課題の解決に向けた貢献が求められているとした。
世界の水問題の解決に向けた国際的な取組については、国連中心の取組や国際NGOなど国連以外の組織を中心とした取組が相互に関わり、世界の水問題解決に向けた国際的枠組みが構築されていることを紹介。また、2015年(平成27年)に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、世界の水問題解決に向けて、多くの水関連目標が設定されており、国際社会が取り組むべき優先課題の一つとなっていることを紹介している。
世界の水問題の解決に向けた我が国の取組については、我が国は、水問題に関する国際会議等に主体的に参加し我が国の経験や技術を情報発信するとともに、健全な水循環の維持・回復が重要課題として国際社会の共通認識となるよう、世界的な取組への貢献が必要との考えを示した。
また、ODAの水供給・衛生分野で、我が国の援助額は最も大きく、OECD開発援助委員会(DAC)加盟国全体の30%を占め、我が国は、開発途上国の水源確保・利用に貢献していることも取り上げた。
さらに、国土交通分野の海外インフラ事業では、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律により官民一体で強力に推進する体制を構築していることを紹介している。
開発途上国での案件発掘段階から関与するため、「統合水資源管理」の観点から国、地方公共団体、民間企業等が官民一体で、水分野の世界インフラ市場参入への展開を強力に推進していることをあげた。
その上で、我が国の水分野の技術的優位性が認められる地域は、地域毎に異なるため、特色を見極めた技術開発、ビジネス展開が求められるとした。
水循環施策をめぐる動向では、水循環に関する施策の背景や、これまでの進捗状況を紹介している。
30年度水循環に関して講じ対策では、27年7月に閣議決定された「水循環基本計画」に盛り込まれた施策について、30年度に講じた施策を報告している。