三重県名張市は、家族の介護や世話などを担う「ケアラー」への支援の推進を目的とする新たな条例案を、今月10日に開会する6月定例会へ提出する。
条例の制定により、市の基本理念や行政の責務、関係者の役割、支援の方針・体制などを明確化する。全てのケアラーが自分らしく、健康で文化的な生活を送れる地域社会の実現を目指す。いわゆる「ヤングケアラー」への支援を1つの重要なポイントにしている点も特徴だ。
市は取材に対し、「6月28日の議会最終日に議決いただいた後、速やかに公布・施行する予定」と応じた。ケアラーの支援に関する条例は、制定されれば埼玉県、北海道栗山町に次いで全国で3例目となる。
介護、障害、医療、教育、児童福祉など幅広い分野にまたがって、制度間の連携を図るとともに、総合的かつ計画的に支援策を実施していく ― 。
名張市が条例案に位置付ける行政の責務の趣旨だ。市民や事業者、関係機関などと力を合わせること、必要な財政措置を講じることなども盛り込む。
市民に対しては、ケアラーへの理解と孤立を避けるための配慮に努めること、市の支援策へ協力することなどを呼びかける。関係機関には、ケアラーが適切な支援を受けられるように取次ぐことなどを求めていく。
いわゆる「ヤングケアラー」については、基本理念として「子どもがその発達段階に応じて、適切な教育の機会を確保し、心身の健やかな成長・発達が図られるようにしなければならない」などと掲げる。本人と関わりやすい学校などには、健康状態や生活環境、教育の機会が確保されているか否かなどを確認し、必要な支援策の把握に努めることなどを要請していく。