国土交通省は、首都圏、中京圏、近畿圏の三大都市圏での鉄道、バスの利用実態を把握し、公共交通施策の検討に役立てる基礎資料の提供を目的に、大都市交通センサス調査を昭和35年以来5年ごとに実施。このほど平成27年に実施した調査結果を速報版として取りまとめた。それによると、鉄道輸送について、首都圏では1日に3000万人超の鉄道輸送人員があり、中京圏では1日に300万人、近畿圏では1日に1000万人超の鉄道輸送人員となっている。また、鉄道輸送人員全体に占める定期券利用割合は、首都圏が57%、中京圏が64%、近畿圏が49%であった。
定期券の販売枚数については、首都圏は890万枚で22年から増加しており、中京圏は90万枚で長期的に横ばい、近畿圏は300万枚で減少傾向から最近5年間で若干増加に転じている。
曜日別の鉄道利用状況では、どの圏域でも月曜日から金曜日までの出勤率は90%を超えており、火曜日が最も高くなっている。一方、土曜日の出勤率は15%~22%、日曜日の出勤率は7~9%となった。
出勤日数については、定期券保有者は週5日出勤が最も多く、次いで週6日出勤が多かった。また、定期券を持たない人も、週5日出勤が最も多く、次いで週3~4日出勤が多い。
65歳以上の高齢者で鉄道利用状況をみると、曜日別の出勤率は、平均で首都圏が81~89%、中京圏が79~89%、近畿圏が81~89%と、火曜日が最も高くなっている。また、土曜日は19~26%、日曜日は7~10%だった。
高齢者の出勤日数については、定期券保有者は週5日出勤が最多で、週4日や週6日出勤が次いで多い。一方、定期券を持たない人は、首都圏と近畿圏で週3~5日が多く、中京圏では週5日が最も多かった。
乗換えの状況
乗換えの状況についてみると、ピーク時とオフピーク時の平均乗換え時間を比較したところ、3圏域ともピーク時の方が1分程度長く、首都圏ではその差が最も大きい。
乗換え移動距離では、水平方向移動距離は中京圏が平均約177mと最も短く、最も長い近畿圏よりも約40m短い。また、上下方向移動距離では、首都圏と近畿圏が平均約14mと最も長く、中京圏よりも約1m長かった。
空港アクセスバスについて
空港アクセスバスについてみると、調査対象圏域から各空港へのアクセスバスの輸送力(輸送人員)は、羽田空港が空港発着合計で約13.6万人/日で最も多く、以下成田空港、関西空港、大阪空港への空港アクセスバスの輸送力が多くなっている。また、羽田空港、成田空港に関しては、空港発バスの輸送力の方が1割程度多い。
空港アクセスバスの利用者に移動目的を聞いたところ、業務目的が最も多く、次いで観光目的が多かった。
バスの代替手段については、どの空港でも鉄道の回答が最も多い。その一方で、全体の2割程度の利用者がバス以外は使わないとの回答であった。
バスを利用した理由では、「乗換えがない」「座って行ける」のほか、「所要時間が短い」という回答が多い傾向にあり、移動の快適性を理由に、空港アクセスバスを利用しているものも多かった。