セブン&アイとDeNAは17日から、高齢者を中心に増加する買い物弱者をサポートするサービスの実証実験を開始した。
11月中旬までの期間中、東京・神奈川のイトーヨーカドー5店舗で、一定額以上の買い物をした利用者に対し、DeNAのタクシー配車アプリ「MOV」で使えるクーポンを配布する。利用者の年齢層や店舗までの移動距離、活用頻度などを検証していく計画だ。
「小売と交通サービスの連携により、買い物を阻む移動の不便という社会問題を解決していく」。両社はそうした理想を掲げている。
高齢化や1人暮らし世帯の増加、交通網の弱体化などを背景として、買い物弱者の問題は過疎地だけでなく都市部でも顕在化してきた。夫婦の共働きが一般化していく中で、子育て世帯にも買い物の移動に困難を感じているところが増えている。
こうした課題を解消していくことは、小売業にとって顧客を確保していくこととほぼ同義だ。セブン&アイは以前からこの領域に力を入れてきている。これまで構築してきた高度な物流システムや店舗網をベースに行う移動販売もその1つだ。
セブンイレブンの移動販売サービス「セブンあんしんお届け便」は、既に34都道府県83店舗で運用されている。販売設備付きの軽トラックが、買い物に不便なエリア、高齢者が多いエリアを中心に巡回。食料品や日用品など様々な商品を提供している。
また、イトーヨーカドーでも北海道札幌市、岩手県花巻市、福島県いわき市、長野県上田市、東京都多摩市、八王子市の6地区5店舗で、すでに移動販売サービスを展開している。
セブン&アイでは、今回の実証実験を通してさらにデータや知見を蓄積していく方針。それらを重要な基盤として、タクシー、バス、移動販売、宅配など、多様なニーズに対応できる最適な買い物支援サービスの可能性を検討していくという。