セブン&アイ・ホールディングス、NTTドコモ、フードダイバーシティの3社は16日から、ムスリムやヴィーガン(完全菜食主義者)向けの「食品判定システム」の実証実験を始めた。こうした訪日観光客らの課題解決を後押しするのが狙いだ。都内6店舗のイトーヨーカドーで、今年の5月31日まで行う。
判別はスマートフォンやタブレット端末にダウンロードした専用アプリが実施。アプリを通じて店舗の商品棚を撮影すると、各商品が分類ごとに色の異なる枠で囲まれ、食べてもいいものとそうでないものが一目で分かるシステムだ。
1つのアイテムを接写するのではなく、商品棚の2、3段程度が写るようにする必要がある。冷蔵庫の商品を扉越しに撮影した場合や、商品が倒れていたり一部が隠れていたりする場合は認識しない可能性があるという。
■色分けで分かりやすく表示
例えば、ムスリムとヴィーガンの人が食べられるアイテムは水色の枠が表示され、反対に口にできないと思われるアイテムには黒または灰色の枠が表示される仕組み。ほかにもムスリムの人が食べられるアイテムはピンク、ヴィーガンの人が食べられるアイテムは黄色、未登録や認識できないアイテムには白い枠が表示される。
さらに、表示された枠をタップすることで、購買の最終判断に用いる個別の詳細情報を確認することも可能。判定対象となるのは、セブン&アイグループのプライベートブランド「セブンプレミアム」の食品約2900点となる。
「食品判定システム」は、フードダイバーシティが提供するムスリム・ベジタリアン向け食事アプリ「HALAL GOURMET JAPAN」内で利用可能。実証実験の利用料金は無料だ。利用可能な環境は、Android OS 4.0以上、iOS 8.0以上になる。
近年、ムスリムの人が多い東南アジアの国からの訪日旅行者が増加している。また、ヴィーガンなど「食の禁忌」を持っている人の訪日も増加傾向だ。そうした人が日本で食品を購入する場合は、翻訳アプリを利用するなど、日本語で書かれた原材料名を頼りに内容を吟味する必要がある。こうした課題を解決するため、ドコモとフードダイバーシティは、判断をサポートする「食品判定システム」を2018年の9月に開発し、トライアル提供を行ってきた。今後も3社は、3社は、より利便性の高まる取り組みを通じ、さまざまな食の安心の取り組みを進めていくとしている。