日本公庫農林水産事業が1月に実施した「平成28年下半期食品産業動向調査」の特別設問で食品関係企業に対して訪日外国人観光客の増加への対応を聞いた結果、4社に1社が売上拡大のチャンスと捉えていることが分かった。中でも、飲食業(外食)では約半数が「売上拡大の良い機会である」と回答しており、他業種と比較して最も訪日外国人観光客の増加に期待を寄せていることが分かった。また、今後訪日外国人観光客を増やすための取り組みについて聞いたところ、「外国語対応可能な人材確保」よりも「マーケティング・営業の強化」や「パンフレット・メニュー等の開発や作成」などが重要であるとの回答が多かった。
この調査は、今年1月1日に実施されたもので、全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業)6975社を対象に行われた。有効回収数は全体で2446社となったが、内訳は製造業が1570社、卸売業が603社、小売業が216社、飲食業が57社となっている。回収率は35.1%だった。
インバウンド消費がビジネス拡大のチャンスと判断
今回の調査では、全国の食品関係企業を対象に訪日外国人観光客の増加による消費拡大と自社の売上との関係が聞かれたが、その結果、25.2%が「売上拡大の良い機会である」と回答しており、4社に1社が訪日外国人観光客の増加をビジネス拡大のチャンスと捉えていることが分かった。一方で、67.9%が「売上には関係しない」、0.8%が「売上縮小の懸念がある」、6.1%が「関心がない」と回答している。
業種別にみると、特に飲食業(外食)では、「売上拡大の良い機会である」が約半数の49.1%となった。26.8となった製造業、20.1%となった卸売業、21.3%となった小売業と比べても、最も訪日外国人観光客の増加に期待を寄せていることがうかがえる。
製造・卸売業はマーケティング 小売・飲食業はパンフ作成で対応
「売上拡大の良い機会である」と回答した企業を対象に、訪日外国人観光客を増やすための取り組みについて聞いたところ、「外国人観光客向けマーケティングや営業の強化」が38.0%で最多回答となった。次いで「外国人観光客向け製商品・メニュー(料理)の開発・提供」が32.4%、「外国人観光客向けパンフレット・メニュー(表)・パッケージ等の作成」が26.0%で続いており、8.4%の「外国語対応可能な人材確保」よりもマーケティングや具体定なパンフレットづくり等に充填を置いていることが分かった。
業種別にみると、製造業と卸売業では、「外国人観光客向けマーケティングや営業の強化」との回答が、それぞれ42.2%、29.8%と最も多くなっている。一方、小売業と飲食業では、「外国人観光客向けパンフレット・メニュー(表)・パッケージ等の作成」が、それぞれ45.5%、64.3%と最も多くなっており、業種によって訪日外国人観光客を増やすための取組内容が異なっている。