厚生労働省は今年度から、マイナンバーカードを活用した介護保険被保険者証のあり方をめぐる具体的な検討を始める。
マイナンバーカードへの一本化、または既存の被保険者証の廃止は現時点では前提としていない。被保険者証そのもののあり方を再考し、マイナンバーカードの特性を活かして介護の利用者、事業者、行政の負担を軽減する方策がないか、幅広く考えていくという。
新たな調査・研究事業を、民間のシンクタンクなどに委託する形で進めていく。そのための3・9億円の経費を、8日に閣議決定された今年度の第2次補正予算案に盛り込んだ。
マイナンバーカードの介護保険被保険者証としての活用をめぐっては、政府が今年6月に閣議決定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で工程表が示されている。今年度中に検討を深めて保険者ら関係者間の合意を得ること、そのうえで必要な環境整備に取り組み来年度以降の本格運用につなげること、などが既定の方針だ。
厚労省は今後、新たな調査・研究事業で実務的、システム的な課題の整理も行いつつ、こうした政府全体の工程表の具体化を図りたい考え。個々のサービスがフリーアクセスではないこと、利用者の多くが75歳以上で認知症の人も少なからずいることなど、医療とは違う介護の独自性も踏まえて丁寧に議論を進めたいという。
取材に応じた担当者は、「マイナンバーカードをどう活用するのか、まだ定まっていないのが実情」と説明。被保険者証との一本化、既存のものの廃止ありきでもないと話した。