9月25日から9月27日にかけて、神奈川県三浦郡葉山町にて、パリ協定6条実施パートナーシップセンター(A6IPセンター)が、環境省等の協力の元、「パリ協定6条実施パートナーシップ(Paris Agreement Article 6 Implementation Partnership)」(A6IP)の第1回専門家トレーニングを開催した。
パリ協定では、すべての国が自国の温室効果ガスの排出削減の目標(Nationally Determined Contribution:NDC)等を定めることが規定されている。一方、世界の温室効果ガスの排出削減・吸収を効率的に進めるため、パリ協定6条には、国際的に協力して排出を減らしたり吸収を増やす対策を行い、その効果を、国際的に移転するという協力枠組みが規定されている。
パリ協定6条の実施により、脱炭素市場や民間投資が活性化され、世界全体の温室効果ガス排出量の更なる削減のほか、持続可能な開発にも寄与することが期待されている。一方で、パリ協定6条を実施するための各国の体制構築や知見の共有などが必要とされている。
こうした中、2022年のCOP27において、環境省が主導してパリ協定6条に関する能力構築を支援する「パリ協定実施パートナーシップ」を立ち上げた。また、2023年4月のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、パートナーシップの活動を促進する事務局となる「パリ協定6条実施パートナーシップセンター」が公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)に設立され、環境省が運営資金を拠出している。現在、パートナーシップには81の国、170以上の機関・企業等が参加(2024年9月時点)している。
A6IPは、削減吸収対策を国家間で協力して行うことを定めたパリ協定6条のアプローチを世界に広く展開する協力枠組。A6IPセンターは、関係各国・機関とともに、環境省が主導して立ち上げた「パリ協定6条実施パートナーシップ」の事務局であり、IGESに設立されている。
トレーニング会合には、世界20ヵ国から22名のパリ協定6条関連の実務者が参加し、A6IPセンターや国際機関等の実務家とともに、①6条の実施に必要な仕組み、②各国の実例や課題、③6条の実施による温室効果ガスの排出削減目標であるNDC(国が決定する貢献)への活用等について、知見・経験を共有し、どのようにして6条に沿った取組を進めていくのか、議論した。
環境省としては、引き続き、多くの国や機関等にA6IPへの参加を働きかけるとともに、A6IPセンターを通じて、各国のニーズに応じた効果的な能力構築支援を進めていく方針だ。