低速モビリティによる移動が高齢者らの健康に寄与するか検証するため、ヤマハ発動機は千葉大学と共同研究契約を締結した。公式サイトで11日に発表した。
電動カートを地域に走らせ、外出や社会参加をどれくらい促すか実証する。これと介護予防、健康増進の関係を分析し、効果を明確化することを目指す。今月から12月にかけて実施していく。
全国に点在する交通空白地帯の課題の解決に向けた試み。移動手段を失った高齢者らは、QOLが大幅に低下してしまう。閉じこもりがちになると心身機能も衰えやすくなり、医療や介護などのサービスも必要となる。
ヤマハは低速の電動カートを1つのソリューションとしたい考え。高齢者らの活き活きとした生活を支えられ、結果的に社会保障費の適正化にも貢献できると構想している。
今回の共同研究は大阪府河内長野市、千葉県松戸市などで行う。20キロ未満で公道を走るパブリックモビリティ(グリーンスローモビリティ)を、高齢者らに〝地域の足〟として活用してもらう計画だ。
ヤマハの飯田実研究開発統括部長は、「高齢者にとって移動の自由はQOL上の重要な要素。グリーンスローモビリティの可能性を今回の実証で確認することで、今後の更なる利用の広がりに期待している」と説明。千葉大予防医学センターの近藤克則教授は、「移動の足がないことが社会参加の障害になることが分かっている。これを解消する手立てとして、グリーンスローモビリティの実装に期待している」とコメントした。