政府は21日、2022年版の「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。白書には、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて広がったテレワークに関する調査結果が盛り込まれた。それによると、テレワーク頻度が高くなるにつれて、睡眠時間が6時間未満の人の割合が減少する傾向が見て取れた。
調査は全国の男女1万人を対象に行った。テレワークの導入割合を業種別にみると、最も割合が高かったのは、「情報通信業」の82.4%。次いで「学術研究、専門・技術サービス業」の62.7%、「金融業、保険業」の55.6%であり、これらの業種では新型コロナウイルス感染症の感染拡大前から感染拡大後の導入割合の増加も大きかった。なお、コロナ前からコロナ後の導入割合の増加倍率でみると、「生活関連サービス業、娯楽業」の4.8倍、「運輸業、郵便業」の4.6倍、「宿泊業、飲食サービス業」の4.4倍が上位を占めた。
テレワークの実施頻度別に1日の睡眠時間をみると、6時間未満の人の割合は「毎日」と答えた人の割合が34.0%だったのに対し、「週4日程度」と答えた人では40.9%となっていた。割合は、テレワークの頻度が下がるごとに増えていき、「一度も行っていない」では46.0%にまで伸びている。
さらに、テレワークとうつ病や不安障害などの関連性をみると、実施頻度が高くなるにつれて、「うつ傾向・不安なし」と答えた人の割合が概ね増加する傾向がみられた。
調査結果を踏まえて厚労省は、「テレワークの状況をみると、どの業種においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機として、コロナ前の2.3~4.8倍と大きく導入が進んでいた。テレワークの実施頻度が上がると、睡眠時間の長い割合が高く、うつ傾向・不安がある者の割合が低くなる傾向がみられた」と分析している。