2021年4月21日 スマホで簡単 麦の栽培診断を楽々ナビ 現場での活用で生産性向上への貢献に期待

 農研機構は3月29日、スマートフォンに対応したWEBシステム「診断に基づく小麦・大麦の栽培改善技術導入支援マニュアル」に簡易診断機能などを追加してリニューアル公開した。

このマニュアルは1年前に公開されたもので、小麦と大麦の栽培上のリスク診断と、そのリスクにどのような対策を取るのかの判断に利用されてきた。WEB上でも閲覧できるが、マニュアルを読んで自分で判断する形式であったため、「生産現場でも使いやすいものを」との要望が寄せられていた。

新たに追加された簡易診断では、簡単な設問に回答すると、小麦と大麦の栽培上におけるリスクの高低がレーダーチャートに表示される。さらに、リスクが高いとされた項目を選択すると、フローチャート式の詳細な診断と対策がスマートフォンやタブレット、PC上で閲覧できるようになっている。

このシステムの活用により、小麦と大麦の栽培上のリスク診断と対策技術の選択が生産現場でも手軽にできるようになり、小麦と大麦の生産性向上が期待される。

 

〔要望に応えて簡易診断機能などを追加〕

小麦と大麦の栽培時の生育不良や減収の原因が不明な場合や、複数の問題が発生している時には、取るべき対策とその優先順位が不明という問題が生じていた。

そこで、農林水産省委託プロジェクト研究「多収阻害要因の診断法及び対策技術の開発(2015~2019)」では、「診断に基づく小麦・大麦の栽培改善技術導入支援マニュアル」を作成し、2020年3月31日に公開した。その後、ダウンロード等により多数利用されている。

このマニュアルは「診断に基づく栽培改善技術導入支援マニュアル」の一項目として、大豆のマニュアルと併せて掲載されているが、これまでの診断方法はマニュアルを読んで自分で判断するものだった。

一方、併せて公開されている大豆のマニュアルは簡易診断機能とフローチャート診断・対策システムを持つ、利用しやすいWEBシステムとなっており、「同じ手軽さを麦用にも」との要望が多くあった。

今回、その要望に応え、WEBシステムとして簡易診断機能などを追加した麦用マニュアルをリニューアルした。

 

〔リニューアルしたシステムの使用方法〕

今回のリニューアルにより、小麦と大麦の栽培を行う上での、①排水不良・湿害、②土壌理化学性のリスク、③枯熟れ・強制登熟等、④雑草害、⑤その他のリスクの5項目について、リスクの高低がレーダーチャートで見られるようになり、対策の優先順位を直感的に判断しやすくなった。

その使用方法では、まず、WEBシステムのトップ画面の「麦類」のボタンを押すと、簡易診断画面に移動する。次に、簡易診断画面で13の設問に回答して「診断」ボタンを押すと簡易診断結果が表示される。リスクの高い項目はオレンジ色に強調表示される。

リスクが高いとされた項目を選択すると、フローチャート式で先の5項目のリスクの診断と導入すべき対策技術の内容が確認できるとともに、画像による確認も可能。フローチャート画面には、簡易診断をしないで目次から直接移動して閲覧することもでき、さらに公開されているPDFファイルのダウンロード版である総合版へのリンクによって、より詳細な解説を読むことができる。

また、このWEBシステムは、スマートフォンで利用できるメリットを生かし、ほ場にいながら診断や対策だけでなく、その場での作業工程の確認などにも活用可能。これらにより、全国の小麦と大麦を栽培する現場で活用できるようになった。

 

〔麦の生産性向上へつながると期待〕

農林水産省では、令和3年度から「麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクト」を実施し、麦・大豆の需要を捉えた生産拡大と収量・品質の高位安定に取り組む産地に対して、団地化の推進や新たな栽培技術の導入等を一体的に支援し、産地の生産体制の強化、収益性・生産性の向上を推進することとしている。この事業でも、マニュアルにまとめられた技術導入を推進しており、本WEBシステムも活用しながら、麦の生産性の向上に役立てていくことが期待されている。


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