国立がん研究センターは20日、長期間ストレスを感じている人は、ストレスがない人よりもがんにかかるリスクが高いという研究結果を公表した。特に男性は関連性が強い傾向で、がんの種類では肝臓がんや前立腺がんのリスク上昇が目立っている。
ストレスは様々な病気のリスク要因とされているが、がんも含めてその詳しいメカニズムはわかっていない。その理由としては、ストレスの度合いを測定することが難しいこと、慢性的なストレスの影響を考慮した研究が少ないことなどがあげられている。そのため、今回は対象者が自覚しているストレスとその変化、がんにかかるリスクとの関連を調べた。
研究チームは、がんにかかっていない40歳から69歳の男女10万1708人(男性:4万8588人、女性:5万3120人)を対象に、1990年(一部は1993年)から2012年にかけて追跡調査を実施。開始時と5年後に、「日常あなたの受けるストレスは多いと思われますか?」という質問へ、「多い」・「普通」・「少ない」の3択で応える手法を取った。2つの質問に答えたのは7万9301人。このうち、男性7607人、女性4879人の計1万2486人ががんを発症していた。
調査では、自覚しているストレスについて、1回目と2回目の質問への答えの組み合わせで6段階のレベルを設定。それによると、両方とも「多い」と答えた人は、両方「少ない」と答えた人よりも、がんにかかる確率が11%高かった。男女別では、男性の方の差が顕著で、両方「少ない」人よりも両方「多い」と答えた人は19%、「普通」や「少ない」から「多い」に変化した人は差が20%に広がっている。一方、女性は両方「多い」と両方「少ない」の差が7%あったが、統計的な有意差はみられなかった。