サイバーダインは9日、体を動かしたり話したりすることが非常に困難な人の能動的なコミュニケーションを支えるインターフェース「Cyin(サイン)福祉用」を、今春から国内で発売すると発表した。価格は60万円(税抜き)。何らかのアクションを起こそうとする際に脳から筋肉へ伝わる信号を読み取って、パソコンを介した意志伝達やナースコールの操作などを可能にするという。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経・筋難病の場合、患者が発する信号が微弱でキャッチしづらいケースが少なくない。サイバーダインはロボットスーツ「HAL」で培った技術を応用。独自の高度なセンサーやアルゴリズムを開発し、この新たなデバイスの製品化までこぎ着けたと説明している。
従来の透明な文字盤や各種スイッチ、視線入力装置などのツールは、症状が重くなった際の対応や本人・家族の負担、意思伝達の精度など様々な課題があった。「Cyin福祉用」はセンサーのバンドを装着して使う。たとえ体をまったく動かせない人であっても、装着部を動かそうとする際の信号さえ検出されれば意思を周辺機器に伝えられる(*)。入力・出力ポートが8つずつあり、いくつかの部位から同時に信号を読み取って活かせることもポイントだ。複数の機器をコントロールしたりより複雑な指示を飛ばしたりできる。「普段から利用しているセンサーやパソコンを組み合わせるなど柔軟な機器構成も可能」という。充電はワイヤレス方式を採用。コンパクトな手のひらサイズで外出時も持っていける。
* 信号の検出状況には個人差があって必ずしも全ての方が使えるわけではない、とされている。
サイバーダインは今後、「Cyin福祉用」の技術を進化させ生体情報の解析・処理を行う研究用途にも展開していく計画だ。障害者や高齢者の暮らしをサポートするテクノロジの発展に大きく貢献したいとしている。