東京大学、SBクリエイティブ(株)と(株)ローソンは、共同で消費者の行動や嗜好に合わせたマーケティングを実現し、より円滑な店舗内での購入体験を実現できるように、IoT技術とアンケートにより、衝動的購買時における商品棚前での消費者の行動データを収集する実験を、1月21日から2月1日まで実施している。
実験を行っているのは、東大大学院工学系研究科電気系工学専攻の矢谷浩司准教授らの研究グループ。現在、コンビニエンスストアでの消費者の行動分析と応用に関する研究を進めている。
今回の実験では、SBクリエイティブ(株)と(株)ローソンの協力の下、コンビニエンスストア実店舗で衝動的購買時における商品棚前での消費者の手や体の動きなどの行動データを収集する。
具体的には、SBクリエイティブ(株)が開発したインテリジェント・ラベルⓇ(※)という商品棚に設置されたセンサーによって、消費者の商品棚前での手や体の動きなどの行動を記録する。さらに、当該商品棚に置かれた商品の購入が、その場の衝動買いによるものか、予め計画して購入されたものかのデータを店頭でのアンケートで取得する。
矢谷研究室ではアンケートとセンサーのデータを統合し、衝動的購買時に消費者がどのような行動を取るかを明らかにすることとしており、この知見により、店舗内でのマーケティングへの応用が期待される。
※インテリジェント・ラベルⓇ:
SBクリエイティブ(株)が製作した最先端の商品棚で、店舗の商品棚にラベル型デジタルサイネージを設置しインターネットに接続することで、商品棚のインテリジェント化を図る。モーションセンサーなど各種センサーを搭載することで、顧客の棚前行動データをクラウド上に収集可能。この機能により、お客様の棚前滞在時間やどの商品が最も手にとられているのかなど、これまで把握できなかった情報を得ることができる
売上の7割は衝動的購買
わが国のコンビニエンスストアでは、売上全体のうちおよそ70%は非計画購買(衝動的購買)によって行われているという調査があり、売上に対する寄与が大きいとされている。一方で、衝動的購買者がどのような行動を実店舗内で取るのか、定量的には研究されておらず、店舗内での消費者への訴求がどの程度衝動的購買につながったかの分析が難しい現状にある。
今回の実験では、SBクリエイティブ(株)と(株)ローソンの協力の下、コンビニ実店舗都内1店で、衝動的購買時における商品棚前での消費者などの行動データを収集する。
IoT技術の発達により、さまざまなセンサーを取り入れた無人店舗などの実証実験が始まっている。このような「スマートストア」では、消費者の行動や嗜好に合わせたマーケティングを実現し、より円滑な店舗内での購入体験を実現できる可能性を秘めている。
この研究により、消費者の衝動的購買に重点を置き、得られた知見を用いて、消費者の購買行動を阻害しない広告デザインなどに展開されることが期待される。