東京商工リサーチは28日、「新型コロナ」関連の経営破たんが累計で105件になったと発表した。これまでの推移をみると、2月は2件、3月は23件だったが、4月は27日に累計100件に達し、その後も増加をたどっている。
都道府県別にみると、破たんがあった地域は31都道府県に広がり、最多は東京都の25件(倒産22件、準備中3件)で唯一の20件超えとなった。次いで、北海道が11件(同10件、同1件)、静岡県と大阪府が各7件、兵庫県6件、新潟県と愛知県が各5件と続く。
業種別では、インバウンド消失と外出自粛の浸透で宿泊業が22件(同16件、同6件)と突出。 次いで、外出自粛で売上が落ち込んだ飲食業が15件(同11件、同4件)、アパレル関連が10件(同4件、同6件)と、個人消費関連の業種が圧倒的に多い。
また、イベント自粛や休校の煽りで学校給食用食材を扱っていた食品製造業が9件、結婚式場やパチンコホールなどのサービス業、娯楽業も8件発生。この他、食料品卸、機械製造卸、出版など、地域、規模を問わず、様々な業種に経営破たんが及んでいる。
「新型コロナ」の感染拡大の終息が見通せず、休業要請などで小・零細企業は苦境に立たされている。さらに、もともと中小企業は、人手不足に伴う人件費上昇や消費増税などで厳しい業績が続いたところに、新型コロナが重なりひっ迫度合いを強めている。
政府は感染拡大の防止のため、外出自粛と休業を要請したが、長引くに従い経営に及ぼす影響は大きくなっている。経営破たんは、2月が2件、3月が23件、4月が28日までで80件と、4月だけで経営破たんの7割以上(76.1%)を占める。
4月28日には、大阪府の旭東電気(株)が資金を支援していた中国の現地法人の資金不足から、「新型コロナ」関連の製造業で最大の負債62億円で民事再生法の適用を申請した。これは27日の同160億円のWBFホテル&リゾーツ(株)に続く規模で、次第に中小から中堅企業にもその波が広がってきたといえる。
東商リサーチは、「27日に日本銀行が追加の金融緩和策を決定したが、小・零細企業、中小企業の経営は疲弊感を強めている。金融機関からの資金調達や国、自治体の緊急融資は申請手続きで後手に回っており、休業中の企業、商店への協力金給付は早急に実施しないと、時間的猶予は限界に近づいている」と分析している。