経済産業省は4日、コロナ資金繰り支援の継続や増大する債務に苦しむ中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジを促す総合的な支援策を展開するため、金融庁・財務省と連携した上で、「中小企業活性化パッケージ」を策定した。今後は、このパッケージに基づき、中小企業の活性化に向けた施策を展開していく。
中小企業活性化パッケージでは、コロナ資金繰り支援の継続において、年度末の資金需要への対応として、年度末の資金繰り支援等の徹底について、内閣府特命担当大臣(金融)及び経済産業大臣より金融機関に要請する。また、セーフティネット保証4号(一般枠(上限2.8億円、80%保証)に上乗せした別枠保証(上限2.8億円、100%保証))の期限を6月1日まで延長する。
来年度以降の資金需要への対応としては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化している事業者に対する実質無利子・無担保融資、危機対応融資(商工中金と日本政策投資銀行による融資・資本性劣後ローン)の期限を6月末まで延長。また、返済負担を軽減するための融資期間を延長する(運転資金15年→20年)。
さらに、民間の金融機関が自己資本とみなすことができる日本政策金融公庫の資本性劣後ローン(最大20年元本据置、上限額10億円)を来年度末まで継続する。
また、納税緩和制度に基づく猶予及び社会保険料の支払猶予制度(延滞税や延滞金を0.9%に軽減)の柔軟な運用(原則担保不要、口頭での事情説明も可など)を継続する。
中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援においては、収益力改善フェーズで、収益力改善に向けた計画策定に加え、認定支援機関による計画実行状況のフォローアップや助言等を強化する(22年4月~)。また、ポストコロナを見据え、中小企業再生支援協議会において、コロナ禍で緊急的に実施している特例リスケ支援を収益力改善支援にシフトする(22年4月~)。
事業再生フェーズでは、コロナの影響が大きい業種(宿泊、飲食等)を重点支援するファンドの組成、ファンド空白地域の解消を促進する(随時)。また、中小企業の事業再生等のガイドラインを策定(経営者退任原則、債務超過解消年数要件等を緩和)し、ガイドラインに基づく計画策定費用の支援制度を創設する(22年4月~)。
再チャレンジフェーズでは、個人破産回避に向け、「経営者保証ガイドライン」に基づく保証債務整理の申出を受けた場合には、金融機関が誠実に対応する、との考え方を明確化する(21年度中)。また、再チャレンジに向けた支援の強化として、経営者の再チャレンジに向け、中小機構の人材支援事業を廃業後の経営者まで拡大する(22年4月~)。さらに、中小機構において、廃業後の再チャレンジに向けた専門家支援を展開する(順次)。
収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援する体制として、全国区47都道府県にある中小企業再背支援協議会を関連機関と統合。収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援する「中小企業活性化協議会」を設置する。