拡大傾向にある新型コロナウイルスを含む感染症に対して、国民の過半数以上が「研究開発の推進」や「わかりやすい情報提供」を求めていることが、文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP、磯谷桂介所長)の意識調査で明らかになった。この調査は、科学技術に関する国民の意識データを収集し、科学技術イノベーション政策の立案・推進につなげることを目的に実施しているもの。2009年度から行っており、今回は社会的関心の高い新型コロナウイルスを含む感染症に関する調査結果を速報として公表した。感染症の予測と対策について、科学技術に関連した政策に対する国民の関心の高さが、あらためて浮き彫りとなった。
調査は15歳から69歳までの男女1500名を対象に実施。新型コロナウイルス、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱などの感染症予測と対策のために、科学技術に関連した政府は何を行うべきかという質問に対しては、全体の60.1%が「研究開発の推進」、56.0%が「一般の人々へのわかりやすい情報発信」と答えた。また、感染症に関しては、2016年3月以降、今回まで5回の調査で同様の質問をしているが、「研究開発の推進」「研究開発施設/機関/大学等の設置」「法的規制/制度を守るよう指導監督の徹底」など選択肢として挙げたどの施策についても回答者の割合が増加。特に、「研究開発の推進」の回答者の割合は、調査開始以来初めて過半数を超え、研究開発に対する国民の関心の高まりを表わす結果となった。
性別でみると、「研究開発の推進」は、前回調査の昨年3月の男性42%・女性40%から今年3月には男性58%・女性62%と、男女ともに割合が伸びており、どちらも過半数を超えている。
「わかりやすい情報提供」と答えたのは、男性51%、女性61%と女性の方が多い。また、昨年3月の男性41%、女性50%と比べて割合が伸びており、今回男女いずれも過半数を超えた。