総務省行政評価局は、「平成28年度行政評価等プログラム」に基づき、行政評価局調査を重点的かつ計画的に実施することとしている。4月からは、「クールジャパンの推進に関する政策評価」、「買物弱者対策に関する実態調査」と「貸切バス等の安全確保対策に関する行政評価・監視」を実施する。
4月から実施する調査の計画は次のとおり。
▽クールジャパンの推進に関する政策評価(総合性確保評価)
クールジャパンの推進に関する政策は、コンテンツビジネス振興政策に端を発し、その後その裾野を拡大している。
平成25年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」では、クールジャパンを国家戦略と位置づけ、官民一体となって取組を強化している。
2018年度までに2010年度(約66億円)の約3倍にするとされた放送コンテンツ関連海外市場売上高は、2014年度には約144億円となるなど、目標達成に向けて一定の進捗があった。
一方、各種取組については、官と民、あるいは業種間の連携はいまだ十分でないとの指摘もある(「クールジャパン戦略官民協働イニシアティブ」(昨年6月17日クールジャパン戦略推進会議))。
調査は、クールジャパンの推進に関する政策について、総体としてどの程度効果を上げているかなどの総合的な観点から評価を行い、関係行政の今後の在り方の検討に資するために実施するもの。
クールジャパンの推進に関する各種施策の実施状況を把握するほか、各種成果目標の進捗状況を把握し、各種施策の効果が発現しているかを分析する。
調査対象は内閣府、総務省、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省と環境省。実施期間は今年4月から来年3月までの予定。
▽買物弱者対策に関する実態調査
人口の減少や少子高齢化、過疎化の影響もあって、買物弱者(流通機能や交通網の弱体化とともに食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれている人々)が社会問題化している。
このような中、一部府省で、買物弱者対策としての先進的な取組事例等をとりまとめ・公表している。
それによると、買物弱者は、一過性の事業により解消されるものではなく、継続性のある取組を実施していくことが重要とされている。
しかしながら、買物弱者対策の継続状況、既に終了してしまった取組の原因・理由等は不明瞭である。
この調査は、買物弱者対策の実態を明らかにするとともに、効果的・持続的な取組を促進する観点から、国、地方公共団体、関係団体・事業者での買物弱者対策に資する事業の実施状況等を調査し、関係行政の改善に資するために実施するもの。
調査では、関係府省における買物弱者対策に資する事業の全体像、買物弱者対策の推進体制の整備状況、買物弱者の把握状況、事業の実施状況等、国・地方公共団体の補助金等に拠らない買物弱者対策の取組・継続状況を調査する。
調査対象機関は、内閣府、総務省、厚労省、農水省、経産省と国交省。調査実施期間は今年4月から来年3月までの予定。
▽貸切バス等の安全確保対策に関する行政評価・監視
総務省では、22年9月に「貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視」の勧告を実施。この中で、行政処分の実効性の確保、交替運転者の配置基準見直し、届出運賃の収受実態の把握、旅行業者に対する指導の徹底を求めていた。
勧告を受け、国交省では、改善措置等を実施したところである。
しかし、近年も貸切バスによる重大事故が発生。今年1月に長野県軽井沢町で発生したスキーバス事故を踏まえ、国交省では、「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」を設置し、徹底的な再発防止策について検討中である。
この調査は、貸切バス等の安全確保対策を推進する観点から、貸切バス事業者・旅行業者の法令順守状況、これら事業者に対する指導監督状況等を調査し、関係行政の改善に資するために実施するもの。
調査では、貸切バス事業者と旅行業者の新運賃・料金制度等の遵守状況等、監査等による法令順守の指導・監督状況等を調査する。
調査対象機関は国交省と厚労省で、今年4月から来年7月まで調査を実施する予定。