医療・介護の現場を支える最新の機器やサービスなどの展示会「国際モダンホスピタルショウ」。今月13日から3日間の日程で開催され、最終日には今年も「看護のアイデアde賞」の受賞式が行われた。
「看護のアイデアde賞」は、サービスの質を上げるために生まれたちょっとした工夫や改善策を広く募集し、優れたものを表彰する企画。「こんなものを作ってみました!」がキャッチコピーだ。9回目となった今年も、そのユニークな発想を形にした多様な作品が集まった。
ここでは、グランプリに輝いた「りくつな枕カバー」と、「心地いいde賞」に選ばれた「体幹キャッチ」を紹介する。ともに病院で考え出されたアイテムだが、介護の現場でもうまく役立てられそうだ。
■ グランプリ:「りくつな枕カバー」
ベッドの背上げ機能を使った時に、置いてあるものがずれ落ちないように配慮した枕カバーだ。金沢市立病院の慢性期病棟で考案された。「りくつな」は金沢弁で「便利な」を意味する。
使ったのは市販のボックスシーツ。1枚で2つ作れるという。内側に枕を入れる袋のような構造で、ベッドの上部にひっかけられるようになっている。シーツは肌触りが良いうえ、いつでも簡単に洗えるため適しているそうだ。テレビのリモコンやティッシュケース、ナースコールなどを入れられるポケットもつけている。
授賞式で担当者は、「患者さんとの関わりを通じて気がついたことを形にした」と話した。ギャッジアップして角度を上げると、枕が本人にぶつかったり周囲のものが落ちたりすることが多かったという。ナースコールが落下して押せない状況になることや、床のものを拾おうとして危険が生じることも心配になった。
そこで自ら解決するツールをデザイン。大切なものが無くならず、いつも定位置でキープされるようにした。患者にとっても職員にとってもメリットが大きく、「ベッドが一段と使いやすくなる」という。
■ 心地いいde賞:「体幹キャッチ」
群馬県のくすの木病院による提案。車いすに乗った時に、体幹の姿勢の保持をサポートするための道具だ。背もたれのところに置くだけで簡単に使用でき、高い支持性と安定感を得られるという。
利用者が寄りかかると、その重みで両側の軸が自然とからだを挟み込む仕組み。ひとりではどうしても姿勢が崩れてしまう人のほか、小柄で車いすのサイズが合っていない人にも効果が期待できる。車いすのまま乗車している時などもメリットが大きいそうだ。
用意したのは一定の強度を持った布。両側の軸には100円ショップで売っていた「プールスティック(プールで使う浮き棒)」を使った。作製した理学療法士は、「柔らかさというか、硬さというか、とにかくちょうどいい」。布も含めて洗うのが容易で、丸めればコンパクトになるのも利点だと語った。
「体幹キャッチ」を開発する前は、クッションやバスタオルを用いて対応していたという。ただし十分な支えにはならず、より良い手段の模索が始まった。「片側からだけでなく、両側からほどよい圧力がかかるのがポイント」と説明する。加えて、「皮膚の弱い人などの長時間にわたる使用は要注意。食事や移動の時間など、要所要所で使うのがいいかなと思う」と呼びかけた。