総務省は、昨年12月11日から今年1月31日までの間、「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」フォローアップ調査を実施し、このほど、同調査の現時点での結果(速報版)を取りまとめた。それによると、ガイドラインを知っていると回答した者の割合は、放送事業者で96.4%(地上基幹放送事業者100%、衛星系放送事業者97.9%、ケーブルテレビ事業者93.3%)、番組製作会社では90.7%となり、ガイドラインの認知度は、放送事業者と番組制作会社の合計で94.2%と昨年度調査よりも上昇していることが明らかになった。
放送コンテンツの製作委託の実績について、放送事業者の72.6%(地上基幹放送事業者100%、衛星系放送事業者77.0%、ケーブルテレビ事業者59.6%)、番組制作会社の82.1%(地上基幹放送事業者と製作取引があった番組制作会社74.9%、衛星系放送事業者27.8%、ケーブルテレビ事業者17.1%)が、調査対象機関中に放送コンテンツの製作取引があったと回答した。
取引内容では、発注書の書面交付について、「交付しない(受けなかった)場合があった」または「交付を全くしていない(受けなかった)」と回答した者の割合は、放送事業者で14.1%、番組制作会社では39.9%となっている。
完全製作委託型番組(完パケ番組)の製作委託をする(受ける)際に、その番組や素材に関する著作権等の取扱について「事前に協議をしていない(協議の機会を設けられない)場合があった」と回答した者の割合は、放送事業者で9.1%であるのに対し、番組製作会社では33.3%と大きな開きがみられる。
放送番組の製作委託をする(受ける)際に、取引価格の決定について「事前に協議をしていない(協議の機会を設けられない)場合があったまたは「事前に協議をしていない(協議の機会を設けられない)」と回答した者の割合は、放送事業者でわずか0.9%であったのに対し、番組製作会社では27.3%と大きな開きがあった。
「当初の発注書や契約書に記載のない業務の追加の発注や、やり直しを要請した(要請された)」と回答した者の割合は放送事業者で3.0%であったのに対し、番組製作会社では15.3%と大きな開きがある。
このうち、追加の発注ややり直しを行うための費用について「十分な協議がなく、放送事業者が一方的に決定した割合を支払った(支払われた)」または「追加の費用を支払わなかった(支払われなかった)」と回答した者の割合は、放送事業者で10.0%だったのに対し、番組製作会社では51.6%と半数を超えていた。
下請法等関係法令及び放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドラインの周知・啓発を図っていくことを目的に昨年6月に設立された「放送コンテンツ適正取引推進協議会」の認知度について、放送事業者と番組制作会社の合計で60.9%が「協議会」を「知っていた」と回答した。
また、協議会による普及活動への期待については、87.0%が「意義があり期待できる」と回答している。
受発注者双方の認識の統一のための取組については、87.4%が「意義があり期待できる」と回答した。
受発注者双方が活用できるマニュアルの策定については、87.6%が「活用していきたいと思う」と回答している。