農林水産省は、スポーツイベントにおける食品ロス削減手法に関する調査結果を公表した。この調査では、協力ホテルで食事をする外国人選手等を対象に食品ロスを削減する効果的な手法が検証されたが、その結果、啓発の取り組みの効果により一人あたりの食べ残し量は減少した。また、アンケートでも「ポスター、三角柱による食品ロス対策は有効である」との声も寄せられている。
わが国では、年間646万tの食品ロスが発生していると推計されており、これを削減することが重要な社会的課題となっている。
また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)の開催に向け、大会組織委員会では、東京2020大会を環境に重視した持続可能な大会とするため、「持続可能性に配慮した運営計画」を策定している。この中では、食品ロス削減について、ポーションコントロールなどにより食べきれる量を考慮して料理の給仕量を調節することや、食品廃棄物抑制の重要性について意識啓発を行うことなどが明記されている。
今回、農林水産省は、こうした状況や取組等を踏まえ、「2018女子世界バレー選手権大会」において、外国人選手等に食事を提供するホテルの協力のもと、食品ロス削減手法の検証を実施した。
食品ロス削減の効果的な手法を検証
調査では、協力ホテルにおいて食事をする外国人選手等を対象に、通常の手法で提供した場合と、食品ロス削減に効果的な多言語での啓発資材の活用や、提供手法の工夫を行った上で提供した場合の食品廃棄物量を計測し比較することで、効果的な手法の検証を実施した。
その結果、ポスターや三角柱ポップによる啓発を実施した10月3日以降、一人あたりの食べ残しの量は減少した(食べた量、食品の総量と比較してともに一人あたりの食べ残し量が減少)。
さらに、一部の選手等が回答したアンケートでは、東京2020大会でもポスター、三角柱による食品ロス対策は有効であるとの支持が得られた。
また、日々の食事の需要量を適切に見極めることが食品ロス対策には重要となる。この点を踏まえ、東京2020大会では、競技スケジュールや参加国等の情報に留意しながら、提供した量や食品ロスの量を計測して見える化することが予測精度の向上に資すると考えられる。
今回の結果については、今後、事前キャンプ地やホストタウンでも活用できるよう、地方自治体や飲食事業者に働きかけていくとしている。