2020年12月8日 がん5年生存率は68.6% 数値は年々向上 国立がん研究センター

国立がん研究センターはこのたび、2010年から2012年にがんと診断された患者の5年後の生存率が68.6%だったと発表した。前回調査した2009年から2011年症例の68.4%よりも0.2ポイント上昇している。

調査は、がんの専門医療機関で診断を受けた、15歳から94歳までの患者14万8226人分を分析した。がん以外の死因を取り除いた相対生存率を算出している。

部位別でみると、最も高いのは前立腺の100%で、女性の乳がんの93.6%と甲状腺の92.6%が続いた。上位3ヵ所の順位は前回と同じ。前立腺の数値に変化はなく、乳がん(前回比1ポイント下落)、甲状腺(同2ポイント上昇)の上下もわずかだった。逆に最も低かったのは、すい臓の11.1%(同1.2ポイント上昇)。これに胆のう・胆管の28.9%(同0.3ポイント上昇)、肝臓の38.1%(同1.1ポイント上昇)が続いた。

診断を受けた際のがんの進行度をみると、早期に発見したり治療を始めたりすることの重要さが浮き彫りになる。例えば、胃がんの5年生存率は、最も早期のステージ1で発見された場合が97.7%なのに対し、最も進んだステージ4の数値は6.6%まで落ち込んだ。肺がんもステージ1が84.6%なのに対し、ステージ4は6.3%。肝臓もステージ1は63.2%なのに対し、ステージ4は2.8%と大きな差が生じていた。

生存率は登録精度の高いがん登録が行われることで、初めて信頼に足る数値が算出可能になるとされている。ただし、今回の集計では、一部の施設や部位、年などで追跡率が90%を割り込んでいた。これは、個人情報保護に対する自治体の対応の違いにより、住民票照会が困難な市区町村の存在が一因と考えられている。がんセンターは「今回の公表を通して、予後情報の活用に対する理解と関心がさらに高まり、正確な予後情報の確認調査が可能な体制の充実が期待される」としている。

 

■ 10年生存率は58.3%

調査では、2004年から2007年に診断された患者の10年生存率も併せて発表された。データは21施設から集計された9万4392症例をもとに算出されている。

それによると、10年生存率は58.3%。前回の2003~2006年症例の10年生存率からは、1.1ポイント上昇していた。部位別にみると、最も高い数値は前立腺で98.8%。それに女性の乳がんの86.8%、甲状腺の85.7%が続く。数値が低かったのはすい臓の6.2%、胆のう・胆管の19.1%、肝臓の16.1%で、上位も下位も顔ぶれは5年生存率と同様だった。


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