北海道開発法に基づく「北海道総合開発計画」が29日に閣議決定された。この計画では、「食」と「観光」を戦略的産業として育成するとともに、農林水産業や観光等を担う地方部の「生産空間」を支え、「世界の北海道」を目指す。
今回の改定は、本格的な人口減少の到来、アジア市場を始めとしたグローバル化の更なる進展、東日本大震災など、北海道開発をめぐる情勢が大きく変化していることから、「国土のグランドデザイン2050」のとりまとめ、「国土形成計画(全国計画)」の見直し等を踏まえ、前倒しで改定することとしたもの。
計画の期間である今後10年間では、「生活空間」を支えるための重層的な機能分担と交通ネットワーク強化、農林水産業の競争力・付加価値の向上や世界水準の魅力ある観光地域づくり、地域づくり人材の発掘・育成に重点的に取り組むこととしている。
計画では、「世界の北海道」をキャッチフレーズとして掲げている。その上で、2050年を見据え、「世界水準の価値創造空間」の形成のため、①人が輝く地域社会、②世界に目を向けた産業、③強靭で持続可能な国土を目標としてあげている。
また、計画推進の基本方針では、北海道型地域構造の保持・形成、北海道の価値想像力の強化を施策の基本的な考え方として掲げている。
さらに、計画の推進方策として、産学官民金による重層的なプラットフォームの形成、イノベーションの先導的・積極的導入~「北海道イニシアティブ」の推進、戦略的な社会資本整備、計画のマネジメントをあげている。
計画の主要施策については、人が輝く地域社会の形成のための施策として、北海道型地域構造の保持・形成に向けた定住・交流環境の維持増進、価値創造力の強化に向けた多様な人材の確保・対流の促進、北方領土隣接地域の安定振興、アイヌ文化の振興等を掲げている。
また、世界に向けた産業の振興では、農林水産業・食関連産業の振興、世界水準の観光地の形成、地域の強みを活かした産業の育成をあげている。
強靭で持続可能な国土の形成では、恵み豊かな自然と共生する持続可能な地域社会の形成、強靭な国土づくりへの貢献と安全・安心な社会基盤の形成を掲げている。
このうち、恵み豊かな自然と共生する持続可能な地域社会の形成では、経済と経済・社会の持続性の確保(自然共生社会の形成、循環型社会の形成、低炭素社会の形成)、環境負荷の少ないエネルギー需給構造の実現(再生可能エネルギーの更なる導入に向けた取組、暖房用熱源や自動車燃料等北海道の地域特性を踏まえた取組)に取り組む。
また、強靭な国土づくりへの貢献と安全・安心な社会基盤の形成では、激甚か・多様化する災害への対応(「人名を守る」ための体制づくりなど)、我が国全体の国土強靭化への貢献(国家的規模の災害時におけるバックアップ拠点機能の確保など)、安全・安心な社会基盤の利活用を実施する。